「漢の中の漢」と呼ばれたワケ 李漢宰、キャリア20年に詰まった情熱と感謝の思い
本人が見た“サッカー選手:李漢宰”は「真っすぐな漢」
FC町田ゼルビアは、2018年にJ1参入プレーオフ出場圏の4位を確保しながら、J1ライセンスに必要な「1万5000人以上が入場可能なスタジアムを有すること」「設備基準を満たしたクラブハウス、天然芝またはハイブリッド芝ピッチを1面以上有する専用の練習場を用意すること」などの条件を満たせず、“不参加”というもどかしさを味わった。J2再昇格初年度の2016年も、結果的に7位フィニッシュだったが最後までプレーオフ圏内入りを争っている。ただ、どんな厳しい現実にも、心が折れることはなかったという。
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「試合に出ていても、出ていなくても、一日一日、クラブや自分が成長していくために必死でした。J3初年度(2014年)は夏場までは断トツで首位を走っていたにもかかわらず、自分も含めて怪我人が多く出て、夏場以降に失速して(3位で)J2昇格を掴み取れなかった悔しさは今でも覚えています。だからこそ、(J2昇格を果たした)2015年は入れ替え戦も含めて全試合に出場しました。試合中にぎっくり腰になり、もう立てないんじゃないかというくらいの状態でも、信じて使い続けてくれた相馬監督には感謝しかありませんし、サポーター、FC町田ゼルビアのJ2昇格を祈っているたくさんの人たちの期待に絶対に応えるんだという気持ちでした。簡単ではなかったけど、FC町田ゼルビアに関わるすべての方の力でJ2昇格を勝ち取ったシーズンでした」
2018年以降は怪我もあり、リーグ戦出場は5試合→8試合→4試合と激減。ただ、満身創痍でも、常にFC町田ゼルビアのためにピッチに立つことを目指した。
「なぜ戦い続けられたか、その明確な理由が一つだけあります。プロサッカー選手として20年間やれたことにもつながってくるんですが、僕が試合に出る姿を見たいというたくさんの方の声があって、つらい時に皆さんの思いを喜びやパワーに変えることができたと思います。できるのか、できないのか、自問自答しながら、『ここで引き下がるわけにはいかない』『自分の背中にはたくさんの人の思いが詰まっているんだ』『みんなの思いを必ずこのピッチで表現するんだ』と思ってプレーしていましたね」
FC町田ゼルビアを愛し、誰よりもチームのことを考えていた李漢宰は、まぎれもなくクラブの“ハート&ソウル”だった。李漢宰はどんなサッカー選手だったか――。敢えて、本人にその質問をぶつけると、「自分で言うのは難しいですが(苦笑)、真っすぐな漢だと思います」と答え、言葉を紡いでくれた。