トップ下香川が示した“新スタイル”への兆し インターセプト8回とキーパス1本の裏に潜むもの

日本代表とドルトムントの香川を比較

 ブルーのユニホームを身にまとい、エースナンバー10を背負った香川真司はピッチ上で苦しみの日々を過ごした。ブラジル・ワールドカップ(W杯)、アジアカップ・オーストラリア大会と大舞台で輝きを放つことができず、チームもサポーターの期待する成果を上げることができなかった。

 しかし、2016年3月29日、埼玉スタジアム2002で行われた2018年ロシアW杯に向けたアジア最終予選のシリア戦において、香川は2得点1アシストを記録した。先制点となる相手のオウンゴールを誘発した左サイドからのシュート性のクロスを含めれば、日本代表の全5得点中の4ゴールに絡んだ10番は間違いなく輝きを取り戻していた。

 その香川が世界最高峰の舞台の一つ、UEFAヨーロッパリーグ(EL)準々決勝第2戦で、かつてドルトムントで指導を受けた恩師ユルゲン・クロップ監督率いるリバプール相手に、トップ下で先発した。そして、ドルトムントは序盤に奪った2点のリードを守りきれず、3-4と逆転負け。優勝候補と呼ばれたドイツの強豪は、2戦合計4-5で敗退となった。

 チームを率いる監督の志向するスタイル、試合の位置付け、コンディション、チームメイトのクオリティー…。試合そのものが、様々な状況において行われる以上、プレーの質は当然異なる。しかし指揮官は、その選手が持つ固有の能力をチームのある役割を果たすピースとして当てはめる作業を行うものだ。日本代表のハリルホジッチ監督の下で香川真司は何を求められ、どのようなプレーをしたのか、またボルシア・ドルトムントのトーマス・トゥヘル監督の下ではどうだったのか? 香川を知り尽くしている対戦相手のクロップ監督はそんな彼に何をさせなかったのか?

 

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