「あの舞台で結果を出すために…」 日本のエース香川真司が取り組む”準備”とは
2015-16シーズン、香川真司は開幕から絶好調だった。ピッチを縦横無尽に駆け回り、ゴールやアシストを量産するその姿を見て、誰もが「香川真司が変わった」と感じたことだろう。
16年に入り、確かにそのパフォーマンスは落ち、苦しんでいるかのように見えた。だが3月29日に行われたロシア・ワールドカップ(W杯)アジア2次予選シリア戦では、2ゴール1アシスト、さらには相手のオウンゴールを導くクロスを上げるなど、「日本のエース」にふさわしい姿がそこにはあった。
ドイツに戻った後も好調を維持。4月2日のブレーメン戦(3-2)、10日のシャルケ戦(2-2)と2試合連続で鮮烈なゴールを決めている。彼は苦境を脱するために、自らアクションを起こし、ゴールという結果を手にすることで上昇のきっかけをつかんだのだ。
日本の10番が見せている変化。その裏側にある「試合に臨むまでの準備」を香川が語る。
香川真司が結果を残すために始めた『準備』
――香川選手が取り組んでいる『準備』とは、具体的にはどういったものなのでしょうか?
「今シーズンの話でいうと、基本的に1試合ごとに体のコンディションと心のコンディションを見ながら、トレーナーさんと一緒に調整していくことです。実際、良いトレーニングを集中してできている時には、良い結果が出るということを、(ドルトムントでの新シーズンに向けた活動の始まった2015年7月からの)この半年間で感じることができています。どういうことに取り組めば良い結果が得られるのかを、今後の経験として持っておきたいと感じています」
――他の選手の準備を参考にすることはありますか?
「特別に目標とする人はあまりいないのですが、スポーツ選手のドキュメンタリーなどを見るのが結構好きなんです。イチローさんのように結果を残している選手の発言や取り組んでいることには、すごく説得力がありますよね。他にも(本田)圭佑くんもそうですし、(長友)佑都などもそうで、準備を徹底して、結果を残している選手はやっぱり多いと思う」
――なるほど。
「あとは、準備ということでいえば、僕は海外でやるようになって、マンU(マンチェスター・ユナイテッド)の選手なども見ていますけど、彼らにないようなストイックさを日本人は持っていると思います。真面目ですし、責任感という意味でも、そういうところのストイックという意味では、割と日本人の方が外国人より細かいところはあると感じています」
――そうした日本人としての強みも、海外にいるからこそ気付けたと感じる面もあるのでしょうか?
「結果を残すには何をしたらいいのかをシンプルに考えた時に……。外国人選手にはパワーがあって、それぞれに持って生まれた才能がある。僕たちがその差を詰めるためには、細かい準備などを通して力をつけていくしかないのかなと思っています。上のレベルにいけばいくほど、そういうことが大切だなと感じるようになりました」