プロモーションの概念を覆す川崎フロンターレの挑戦
2シーズン制になっても集客は劇的に改善されない 川崎Fのプロモーションはユニークで面白いと言われる一方、真剣勝負の場にウイットが必要なのか、など賛否両論ある。それでも続けるのは、現在のJリーグやスポーツ界に危機感を覚えているからだという。 「2シーズン制にしたからといって集客が劇的に改善されるわけでも、クラブがすぐに潤うわけでもない。Jリーグ任せにするのではなく、クラブ自身が汗をかいて自分たちのできることを広げてお金を生み、ファンを増やしていくしかないんです。自己規制して殻に閉じこもっていても目的は達成できないし、クラブも大きくなれないですからね。 最近、関西リーグ1部の奈良クラブとの間で、僕らが持っている発想と経験を共有するアドバイザリークラブの提携をしたんです。狙いはクラブ同士が横の連係を深めて、共存協栄していくこと。そうしてJリーグ全体を盛り上げていかなければ、と思っています」 天野はすでに2014年のプロモーションの布石を打ち、15年に予定されている等々力の新スタジアムオープンに向けての準備を着々と進めている。 「屋根や座席などの拡充を図り、観戦環境を良くしていく。安心、安全、快適なスタジアム環境をつくりだすことがフロンターレを次のステップに進める最重要案件だと感じています。また、新スタジアムは試合だけではなく、川崎の魅力を発信し、ワクワクドキドキの空間にしたいと考えてます。今は言えないけど、皆さんをあっと言わせる仕掛けを川崎市と協議しながら進行中です」 13年10月、川崎市長選挙があり、市長が代わった。今後のスタジアム建設を含め、政治的な動向にもしっかりと気を配る。天野にとって必要ではない情報などない。いつか必ず線に繋がるからだ。 【了】 佐藤俊●文 text by Shun Sato