どうなるカタールW杯!? FIFAが派遣した大学教授が開催権剥奪を勧告
「前進できる」とFIFA会長
2022年のワールドカップ開催国となっているカタールでは、スタジアム建設のために出稼ぎ労働者を気温40度以上という劣悪な労働環境で酷使させていることが重大な問題となっている。FIFA(国際サッカー連盟)の派遣した、ハーバード大学のジョン・ラギー教授が石油国家の暗部を明かした調査報告書を提出し、「開催権剥奪」を勧告している。米スポーツ専門テレビ局ESPNが報じている。
国連でも勤務経験のあるラギー教授は、FIFAの依頼で作成した膨大なリポートの中で厳しい言葉でカタールを断罪。W杯開催権剥奪を勧告している。
「FIFAはその支配力をもってしても 甚大な人権侵害を減少させることができない。ならば、カタールとの関係を停止するか、断絶するか検討すべきだ」
カタールではインドなどからの出稼ぎ労働者が雇用主にパスポートを奪われて身動きできなくなり、厳しい労働環境で酷使されていると伝えられてきた。過労が原因で労働者が死亡する事例も多発し、欧州メディアも石油国家の暗黒ぶりを告発してきた。カタールはW杯開催を巡り、FIFA理事に多額の賄賂を贈り、投票権を手にしてきた数々の疑惑も浮上している。FIFA高官も次々に逮捕されるなど、逆風が吹き荒れている。
FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長は「ラギー教授のリポート作成に感謝したい。FIFAも独自の調査結果を進めているが、これで前進できる道が開けた。プロセ スも存在する。もちろん、挑戦すべき点は残されているが、FIFAは人権尊重に関して大きな役割を担っている。この重要な部分で国際的なスポーツ連盟のリーダーとしての役目を果たしたい」と語った。
スキャンダルにまみれたカタールW杯は、果たして中止となるのだろうか。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images