闘将クロップの名演説が導いた“アンフィールドの奇跡”  逆転勝利のリバプールの心を震わせた言葉とは

「孫、子供に語り継げる瞬間を…」

 そんな情熱あふれる指揮官は、ハーフタイムに心に響く演説でリードされた選手の闘志に火をつけた。オリギはこう証言する。

「本当にスペシャルだよ。ハーフタイムに監督は『自分たちの孫、子供に語り継げるような瞬間を作り上げなければいけない』と話していた。ファンにスペシャルな夜を作るんだ、とね。僕たちは信じていた。最初のゴールを決めた時に、特別な瞬間になるとみんな確信したんだ」

 ドレッシングルームでの闘将のスピーチが劣勢を覆す第一歩となった。

 後半17分の2枚切りのギャンブルで勝機をつかんだ。イングランド代表MFアダム・ラナーナとブラジル代表MFロベルト・フィルミーノを同時に下げる決断を下したクロップ監督は「ジョー(アレン)とダニエル(スターリッジ)を入れた時に“個性を見せろ”というメッセージを送ったんだ。負ける時もあるし、それはどうでもいい。だが、自分たちの個性示さなければいけない。そして、彼らはそれ以上の仕事をやってのけた」と語った。

 スターリッジは右サイドでロブレンの決勝弾の起点となるパスをMFジェームス・ミルナーに供給するなど勝利に貢献。アレンも中盤で運動量を示した。

「素晴らしい経験だったけれど、本当に実現するなんて信じがたいよ」

 リバプールは2004-05シーズンの欧州チャンピオンズリーグ決勝ACミラン戦で前半に3点リードを許しながら、PK戦に持ち込み優勝した「イスタンブールの奇跡」という伝説を残している。クロップ監督が優勝候補本命と認めたドルトムント相手の大逆転劇も「アンフィールドの奇跡」と呼ぶにふさわしいドラマとなった。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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