山梨学院を選手権優勝に導いた智将の策略 青森山田の浦和内定DFにマンマーク「斬新と言うか…」
山梨学院が11年ぶり2回目の優勝、長谷川監督が練り上げた青森山田“封じ”が奏功
第99回全国高校サッカー選手権は11日に決勝戦が行われ、山梨学院(山梨)が青森山田(青森)にPK戦の末に勝利して11年ぶり2回目の優勝を果たした。就任2年目の長谷川大監督は、「10回戦って1回か2回勝てれば良いという相手。その1回が今日来るようにどう戦うかを準備して臨んだ」と、戦術面を練り上げてきたことを明かした。
準決勝までの4試合で15得点を挙げてきた青森山田の攻撃力について、「青森山田の攻撃のやり方で、サイドバックが高い位置を取るのが特徴で相当な強み」と話した長谷川監督は、そこにクサビを打ち込んだ。そのやり方は「出発点は藤原くんだと思い、彼にマンマークをつけようと考えた。マークをつけて10対10にしてしまおうと」というものだった。
青森山田の主将で浦和レッズ入りが内定しているDF藤原優大にマークをつけることで、スムーズなビルドアップを阻害する。そのうえで、「それでも上がってくるだろう」という予想の下に、両サイドバックが攻撃参加した裏側がカウンターで狙うポイントになった。前半12分の先制点は、青森山田の左サイドバックを務めるDFタビナス・ポール・ビスマルクが攻撃参加した背後を突き、逆サイドのDF内田陽介が戻り切る前に中央に展開してMF広澤灯喜がシュートを決めた。
長谷川監督は「この大会は短期決戦なので、チームのスタイル、やり方はどのチームもあまり変わらず、分析しやすいと感じた」と話す。そして、この戦術の引き出しは神奈川大学で指導していた際に、早稲田大学との対戦で最終ラインに傑出したビルドアップ能力を持つ選手がいた際に採用した戦術だという。
ただ、実際にプレーするのは高校生年代の選手たちであり、指揮官も「言って表現するのは難しい」と話す。それでも「相手の圧力が来る最初の裏側を使おうというところが上手くいった。選手たちが迷いなく取り組んでくれて、電光石火で決めてくれたのは頼もしい。先制点が取れれば信じて突き進んでいける。本当に大きかった」と、大舞台でゲームプランを遂行した選手たちを称えた。
一方で、青森山田の藤原も「センターバックにマークがつくという、斬新と言いますか、選手権の決勝になって自分についてきてどうすれば良いのかと頭が回らなかった。ハーフタイムでコーチにアドバイスを受けて良くなったけど、プロになるなら自分で考えられるようにならないといけない」と、その戦術への対応に苦慮したことを明かした。