過去4大会でベスト4入り3回 矢板中央の監督が指摘した“4強の壁”突破の条件とは?
高橋監督は守備力に加えて、「個々の技術を高めること」を課題に挙げる
第99回全国高校サッカー選手権は9日に準決勝が行われ、2年連続でベスト4に進出した矢板中央(栃木)は青森山田(青森)に0-5で敗戦。チームを支えた堅守が崩れてしまったが、高橋健二監督は「守備力に加えて個々の技術を高めるのが決勝への条件だと思う」と語った。
矢板中央は、初戦となった2回戦の徳島市立(徳島)戦を1-1からのPK戦、3回戦の東福岡(福岡)戦は0-0からのPK戦で制した。準々決勝の富山第一(富山)戦は2-0で勝利したが、武器が3試合で1失点の堅守だったのは間違いのないところだった。
この青森山田戦に関しても、高橋監督は「ゴール前に人数が掛かってくると分かっていたので、そこに自分たちもプラスアルファの人数をかけてゴール前の意識を高めること」を準備で取り組んだという。それはつまり、自陣で耐えてカウンターの機をうかがうというゲームプランだった。しかし、前半のうちに個人技の要素が強い先制点を許すと、セットプレーでも失点。ハーフタイムの時点で0-2では、ゲームプランは崩れていた。
この守備的なスタイルは、批判を集めることもある。高橋監督自身もそれを認めているし、主将のDF坂本龍汰も「矢板中央は守備に偏りがちで批判されることも多いし、正しいのかと思うこともあった」と、その苦しい思いを語る。
それでも、この守備をベースにしたチーム作りがあったからこそ、直近の4大会で3回のベスト4入り。ベスト8で敗退した前々回も、優勝した青森山田に準々決勝で敗れたものという、全国の舞台で安定した成績を残すことにつながった。
とはいえ、高橋監督は「近年、ここまで来られるようになったけれども、得点力がない。ベスト4で得点したことがないのは事実。守備力に加えて、個々の技術を高めるのが決勝への条件だと思う」と、その先に進むには突破するべき壁があると話した。
矢板中央には2年生の選手も多く、その中でもGK藤井陽登は前回大会も1年生で出場していた。それだけに高橋監督は「原点に返って、あの青森山田に勝たないと日本一はない。2年生には経験者が多く、中には去年プレーした子もいる。彼らが3年生になる来年、もう1回挑戦したい」と、意欲を燃やす。
必死にゴールを守るひたむきな姿は、矢板中央の伝統として残る。あとはそこからどれだけ攻撃的な姿勢やゴールを奪うためのプレーを増やせるか。この全国高校サッカー選手権におけるベスト4も素晴らしい実績だが、そこからの一歩に求められる変革を見せられるかの挑戦が始まろうとしている。
(FOOTBALL ZONE編集部)