“優勝候補”昌平、2年連続8強へ 埼玉県勢39年ぶりの頂点まであと3つ「絶対日本一になる」
3-0勝利にも反省の弁 須藤「後半は自分たちのサッカーができなかった」
創成館の前半のシュートは、MF岩﨑雄永が直接狙ったFKと、岩﨑の右ロングスローからMF吉村大和が放った2本だけ。後半も昌平のペースで試合が進み、さらなる得点の積み上げがあるものと思われた。
しかし実力差があっても、サッカーはそうそう思惑通りにはいかないものだ。後半は16分と22分に小見、23分にJ3福島ユナイテッドに加入予定のMF柴圭汰、38分に初出場の1年生MF佐藤海空斗に惜しいシュートがあったものの、後半はゴールを割れなかった
それ故、ベスト8を決めても藤島監督に浮かれた言葉は一切なく、むしろ試合総括は反省の弁から始まる。「前半は3点取れたが課題も残る。疲労が出て運動量が減り、ボールを保持することやセカンドボールを拾うことが難しくなった」と述べ、須藤も「後半は相手に勢いがつき、自分たちのサッカーができなかった」と3-0の結果にも手放しでは喜んでいなかった。
出場3度目の前回は、準々決勝で準優勝した青森山田(青森)に2-3で惜敗。悔しい思いをした。加えて昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、関東高校大会とインターハイの両予選が中止となり、今大会にすべてを懸けてきたのだ。埼玉県勢として、39年ぶりの高校日本一に栄達するまでは負けるわけにはいかないのだ。
2試合連続無失点の堅陣を支えるDF唐木晃は、「監督はずっと『今度こそ、絶対日本一になる』と言い続けてくれるので、僕らもそこは強く意識しています」と指揮官の言葉に乗せられ、選手もその気になっている。
(河野 正 / Tadashi Kawano)
河野 正
1960年生まれ、埼玉県出身。埼玉新聞運動部で日本リーグの三菱時代から浦和レッズを担当。2007年にフリーランスとなり、主に埼玉県内のサッカーを中心に取材。主な著書に『浦和レッズ赤き激闘の記憶』(河出書房新社)『山田暢久火の玉ボーイ』(ベースボール・マガジン社)『浦和レッズ不滅の名語録』(朝日新聞出版)などがある。