「先輩に頼らない」 昌平の“ニューカマー”MF平原、威風堂々のフィニッシャーぶりの理由

昌平高校2年生の技巧派MF平原隆暉(写真は1回戦のときのもの)【写真:河合 拓】
昌平高校2年生の技巧派MF平原隆暉(写真は1回戦のときのもの)【写真:河合 拓】

京都橘との2回戦で1得点1アシストを記録して勝利に貢献

 第99回全国高校サッカー選手権大会の2回戦、浦和駒場スタジアムで行われた京都橘(京都)と昌平(埼玉)のカードは、前回ベスト8の昌平が前半に挙げた2点を守り切って2-0で快勝。1回戦に続いて先発メンバーに名を連ねた2年生の技巧派MF平原隆暉が、1得点アシストの活躍でチームの2年連続2度目の3回戦進出に貢献した。

 初戦はボランチで先発し、後半26分に交代。藤島崇之監督は「あの試合、ボランチではうまくいかなかった」とし、この日はトップ下での起用となった。埼玉県予選は初戦の3回戦から準決勝までが右2列目で、決勝は左2列目でそれぞれ先発。武南との準々決勝では後半28分からトップ下でプレーしている。

 それまでは来季J1鹿島アントラーズに加入するドリブラーの須藤直輝、1年生で唯一先発する左利きの荒井悠汰の両MFにボールを散らすくらいの働きしかしていなかったが、そのはつらつとした動きに目を奪われたのが、前半20分だった。

 中央やや左からドリブルで持ち上がり、ペナルティーエリアに飛び込んだ。軽やかなリズムに相手DFは、たまらず反則で止めてしまい、願ってもないPKが転がり込む。これをPKの名手、J2アルビレックス新潟入りするFW小見洋太が冷静に決めて先制する。

 一気呵成の戦況となった4分後、先制点をお膳立てしたご褒美が届いた。さっきのお返しとばかりに小見が左からやさしい最終パスを送り、得意の左足で2点目を豪快に蹴り込んだのだ。

 指揮官は「技術的にはチームの中でも一番高いというくらいで、スキルは申し分ない。体の線は細いが、ボールを止める、蹴る、運ぶことに優れ、シュート技術も高い」と平原に最大級の褒め言葉を送る。

page1 page2

河野 正

1960年生まれ、埼玉県出身。埼玉新聞運動部で日本リーグの三菱時代から浦和レッズを担当。2007年にフリーランスとなり、主に埼玉県内のサッカーを中心に取材。主な著書に『浦和レッズ赤き激闘の記憶』(河出書房新社)『山田暢久火の玉ボーイ』(ベースボール・マガジン社)『浦和レッズ不滅の名語録』(朝日新聞出版)などがある。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング