「あの瞬間を自分に残して…」 現役ラストマッチの中村憲剛が試合後ピッチから去らなかった理由
天皇杯決勝でラストゲームを飾った中村憲剛
川崎フロンターレの元日本代表MF中村憲剛は、1日の天皇杯決勝が現役ラストゲームになった。ベンチ入りして出場機会はなかったが、チームは1-0でガンバ大阪に勝利して初優勝。試合後には「帰りたくない、嫌だという子供みたいな感じ」と、現役選手として最後の瞬間を終えた。
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川崎は前半から決定機も多く作り出す展開に持ち込んだものの、なかなかゴールが決まらず。しかし、後半10分にFW三笘薫が先制ゴールを奪い、ついに均衡が破れた。ウォーミングアップエリアにいた中村は、地面に大の字になってガッツポーズ。「決まった、やっと決まった、試合に出れる」という気持ちだったと、笑いながら振り返った。
しかし、結果的にはそのまま逃げ切った試合展開の中で出場機会は訪れず。鬼木達監督は延長戦に入った時にチームのムードを変えるための交代カードにしたことを試合後に明かしたが、中村もまた「僕もピッチで勝つために一緒に戦っているし、どうやったら力になれるかと考えに考えて、最後の10分近くかなりガンバが押してきたし、延長もあるかもしれない。そしたら延長で出番があるかもしれないと考えながら。チームのために最後まで頭をフル回転させられたのは良かった」と振り返った。
試合後、ピッチには最後まで残って芝生の上で大の字になり、ロッカールームでは最後まで残った顛末をこう語った。
「帰りたくない、嫌だという子どもみたいな感じでしたね。選手としての芝生が最後だったから。『暗くなったから帰るよ』と言われた子ども時代を思い出した。もうスパイクで踏むことないですからね。あの瞬間を自分に残しておきたいという思いだった。ロッカールームも最後だったし、ユニフォームを脱ぐのも嫌だった。脱いだら着ることが二度とないから。
こうやって1つ1つ終わりを実感するんだなって(引退を発表してからの)2カ月やってきましたけど、本気の本気で終わりなので。この後、日を追うごとに実感するんだろうと思う。自分は止まるけど周りが進むので、寂しさは感じると思うけど、この18年間を全力でやってきたように次のステージで頑張りたい」
2003年に中央大学から加入した中村は、それから18年を移籍せずに過ごした。ピッチ外でもスタジアムに来たサポーターを楽しませることや、地域と協力して算数ドリルを作成するなど多岐にわたる活動をするクラブで過ごした中村は、その意義と感謝も話している。