昌平の危機を救った“篠田兄弟” 殊勲の兄・大輝が誓う野望「サッカー王国・埼玉を復活させたい」
兄・大輝はジョーカー役として自信「常に自分がヒーローになるつもりで準備している」
本当に強気の男である。Jリーグの浦和レッズのジュニアユースに在籍したが、ユースには昇格できなかった。高体連で昌平を選んだのは、青森山田の優勝を見て高校サッカーに憧れたが、その青森山田を倒して高校日本一になるためだ。「きょうは2点取るつもりでいたけど、弟に1点譲ってあげました。常に自分がヒーローになるつもりで準備している」と言い放つあたりも頼もしい。
公式戦で兄弟揃って得点するのは初めての経験だそうだ。
藤島監督は大輝の決定力に常に期待を寄せ、「点が欲しい時に取ってくれるし、あのパンチ力は魅力です」とジョーカーとして起用する。
埼玉県予選初戦、浦和南との3回戦でも1-1の後半26分に登場し、同35分にはしっかり決勝ゴールを奪っている。
大輝の言葉は第60回大会の武南以来優勝から遠ざかっている埼玉県勢にとっては、うれしい限りだろう。
「僕らの手でサッカー王国・埼玉を復活させたい」
その力は十分ある。決勝で青森山田と顔を合わせ、勝って高校日本一になったら大輝の大願は成就する。
(河野 正 / Tadashi Kawano)
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河野 正
1960年生まれ、埼玉県出身。埼玉新聞運動部で日本リーグの三菱時代から浦和レッズを担当。2007年にフリーランスとなり、主に埼玉県内のサッカーを中心に取材。主な著書に『浦和レッズ赤き激闘の記憶』(河出書房新社)『山田暢久火の玉ボーイ』(ベースボール・マガジン社)『浦和レッズ不滅の名語録』(朝日新聞出版)などがある。