「みんなの幸せを手助けする」 元ブラジル代表MFサンパイオが掲げる今後の“夢”

2019年10月にブラジル代表のスタッフ入りをしたサンパイオ(写真左)【写真:Lucas Figueiredo CBF】
2019年10月にブラジル代表のスタッフ入りをしたサンパイオ(写真左)【写真:Lucas Figueiredo CBF】

現在はブラジル代表のチッチ監督をアシスタントとしてサポート

 現在はブラジル代表で、チッチ監督のアシスタントコーチの1人を務めている。サンパイオとチッチがブラジルサッカー連盟の運営する監督ライセンス講座を同じ時期に受けたことがきっかけで、関係が深まり、2019年10月にスタッフ入りした。

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 チッチは「彼が勉強してきたことのレベルの高さに加え、ブラジル代表でのプレー、ビッグクラブでキャプテンなど、経験の幅が非常に広い。さらに、彼の人間性がそれらすべてを総合し、クオリティーの高いものにしているんだ」と、サンパイオ招聘の理由を語る。

 サンパイオも、チッチの仕事を尊敬してきたのはもちろんのこと、ピッチの中だけでなく、スタッフを含めたチームの構造作りなど、共感することが多いという。

「僕は好奇心が強いから、彼を質問攻めにする。一度説明されたことも、さらにあれこれ聞くものだから、イラッとするに違いないけど(笑)、同時に、彼にも多くの疑問があるのが分かったんだ。誰でも、すべてに答えを出すことはできない。それを一緒に発見していったのが、重要なことだった。僕はワールドカップ準優勝メンバーだ(1998年フランス大会)。そして、もう一度代表への扉が開かれ、人生における新たな挑戦をしている。自分の経験を凝縮しながら、その一瞬一瞬に、ベストを尽くそうと頑張っているよ」

 チッチも笑いながら補足する。

「我々スタッフの会議は、喧嘩のように聞こえることだろう(笑)。それぞれに自分の見方と意見があり、一度でコンセンサスが取れるわけじゃない。しかし、最終的に意見がまとまれば、そこから先は全員が一つになって実行に移す。それが我々の仕事だ」

 そんな熱い日々に身を投じているサンパイオに、今後の夢と目標を聞いた。

「少年時代には、サンパウロの自宅からサントスFCに通うバス代がなかった。だから、多少なりとも給料をもらえたサンパウロFCでのフットサルを続けながら、学校とも両立し、睡眠や食事の時間を削ってでもサントスFCに通ったんだ。あれが僕のスタート地点。苦しくても、夢を追い続けられたことを幸せに思う。だから、僕の夢と目標は、みんなの幸せを手助けすることだ。そのためにベストを尽くすし、勝った、負けたの上にある、誰かのために良いことができれば、それが僕にとって一番大切なことだよ」

藤原清美

ふじわら・きよみ/2001年にリオデジャネイロへ拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特に、サッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のテレビ・執筆などで活躍している。ワールドカップ6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTubeチャンネル『Planeta Kiyomi』も運営中。

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