Jリーグを席巻した「MVP不在」の最強チーム 川崎の姿は直近4大会のW杯王者に類似

直近4大会のW杯王者も特定の選手に依存せず、総合力で勝っている

 ジネディーヌ・ジダンはスーパースターだったかもしれないが、ペレやフランツ・ベッケンバウアー、マラドーナほどだったかといえば微妙で、グループリーグの退場によって2試合を欠場している。ゴールゲッターも不在で、決勝に出場したFWシュテファン・ギバルシュは1点も取っていない。

 2002年はロナウド、リバウド、ロナウジーニョのいたブラジルが優勝していて、これも新たな流れの中では例外だったが、ここからの優勝チームにはスーパースターも単独の得点王もいない。

 2006年イタリア、2010年スペイン、2014年ドイツ、2018年フランスは、いずれもMVPを選ぶのが難しいチームだったと思う。特定の選手に依存せず、総合力のあるチームが勝っている。2020年J1における川崎と同じだ。

 もし、私が川崎の社長だったら、全力でオルンガを獲りに行く。今の川崎にオルンガがいれば鬼に金棒。オルンガは30ゴールどころか40ゴールすら期待できる。ただ、サッカーとはやはりそういうものではないのだろう。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)



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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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