J2屈指の“ゴラッソメーカー” 攻守にハイクオリティーな五輪世代MF【J2からの推薦状】
MF上門知樹(ファジアーノ岡山): “神様コース”を打ち抜く技術と積極性を持つアタッカー
J2での活躍を経てJ1へと飛躍する選手は、近年では毎シーズンのように生まれている。本企画では「J2からの推薦状」と題し、次にそのような飛躍を遂げる可能性のある“スター候補生”たちを紹介する。
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スピードと強烈なシュート力を武器に圧巻のゴラッソを生み出すのが、ファジアーノ岡山のMF上門知樹だ。ドリブルを駆使して攻撃を活性化させ、少しでも隙やマークの緩みがあれば、鋭いカットインから放つインステップキックでゴールネットを揺らす。そのプレーは岡山最大の武器となっていた。
上門は沖縄出身で、2016年に地元クラブのFC琉球に入団。ルーキーイヤーから3年間のJ3時代はなかなか結果を残すことができなかったが、J2昇格初年度となった昨季に覚醒の時を迎える。一気に得点感覚を開花させ、類まれなシュートセンスから14ゴールを奪取。攻守両面でアグレッシブな姿勢を貫き、高い評価を獲得した。
そして今季は成長を求め、初めて地元・沖縄を離れて岡山へと移籍。新天地での戸惑いもあったはずだが、ここでも上門は着実にレベルアップ。開幕戦からスタメンに定着すると、7ゴール4アシストと新天地でも自身の価値を証明した。
今季の代表的なゴールは、第17節大宮アルディージャ戦(1-1)での一撃だろう。0-1で迎えた後半2分、ペナルティーエリア外の左角からニアサイドの“神様コース”を撃ち抜いてゴラッソ。ボールにミートする技術の高さと、シュートまでの明確なイメージがあってこその素晴らしい得点だった。
この大宮戦のように、上門の劣勢での得点や積極的なプレー選択はチームに勢いをもたらし、岡山を救ってきた。それだけでなく、粘り強い守備からカウンターに出ていくスプリント力もあり、90分間継続して攻守にパワーを持ってプレーできるのも魅力の一つ。そこに両足のキック精度も兼ね備えており、まさにハイクオリティーな選手だ。
年齢的にも東京五輪世代で、まだまだ成長の可能性が残さている上門にはJ1からオファーが来ても不思議ではない。今後、J2を代表する“ゴラッソメーカー”がどのような形で飛躍していくのか、注目していきたい。