日本女子サッカーの象徴に―― アストン・ビラ移籍の岩渕真奈が見据える選手としての“最終形”
世界トップレベルの選手がプレーするイングランドでさらなる成長を目指す
FA女子スーパーリーグはアメリカ女子代表FWアレックス・モーガン(トッテナム)、オーストラリア女子代表FWサム・カー(チェルシー)ら世界トップクラスの選手たちがプレーし、成長著しいヨーロッパの中でも年々レベルアップしている。岩渕のなかにも、「イングランドに行けば成長できる」確信があったという。
「イングランドの女子サッカー界は、男子のプレミアリーグに所属しているクラブが女子チームを持っていて、同じトレーニング施設を使えたりします。アメリカ代表、オーストラリア代表の選手もたくさんいますし、フィジカル、スピードに長けた相手と対峙することになる。私自身、(海外初挑戦だった)ドイツで得られた自信がすごくあったし、見える景色も広がるきっかけになって、人間としての幅も広がったと思うので、一つ上の環境に身を置くのはオリンピックにもつながると思いました」
アストン・ビラは、FA女子スーパーリーグ最年少のジェマ・デイビス監督(28歳)が率いる。なでしこジャパンではゴールが求められる最前線でプレーしている岩渕だが、アストン・ビラではチャンスメーカーとしてチームに貢献したいとイメージを膨らませる。
「正直、自分のことを点取り屋だとは思っていなくて(笑)。私の特徴はチャンスを作ること。もちろんゴールは狙っていますけど、たぶんトップ下がメインになると思うので、自分の良さである技術、ボールを落ち着かせるプレーに加えて、創造力や俊敏性を駆使しながらチャンスに絡んでいきたいです。アストン・ビラをしっかり1部に残留させる使命を与えられると感じていて、そこは確実に達成して自分の価値を証明したいと思います」
日本女子サッカー界は、初の世界一に輝いた2011年女子ワールドカップ時にMF澤穂希、その後はリオデジャネイロ五輪予選終了までMF宮間あやが絶対的な存在として君臨していた。偉大な先輩とも共闘した経験を持つ岩渕は、「私は澤さん、宮間さんにはなれないし、足元にも及ばない」と断ったうえで、自身が思い描く選手としての理想像についてこう語る。
「『女子サッカー=岩渕真奈』と言われる存在、子供たちや若い選手たちに目標にされる選手になりたいです。新しいチャレンジをしていくなかで、絶対に成長できるように、何かもたらせるように頑張るので、応援していただけたら嬉しいです」
満を持してイングランドへ向かう岩渕のさらなる進化から目が離せない。
(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)