浦和の“バンディエラ”山田暢久の今 社会人で監督2年目、“天性の勝負師”は現役復帰もしていた

浦和レッズ時代はキャプテンマークを巻いてプレー【写真:Getty Images】
浦和レッズ時代はキャプテンマークを巻いてプレー【写真:Getty Images】

来季の続投も決定 「関東社会人大会出場が最低限のノルマ」

 4カ月遅れの8月2日にリーグ戦が開幕。昨季3位の海自厚木マーカスが棄権したため、9チームによる1回戦制で争われた。Jリーグの大宮アルディージャなどでプレーした渡辺大剛を擁する品川CC横浜との開幕戦には敗れたが、優勝した日本工学院F・マリノスや昨年関東リーグ2部だった神奈川県教員クラブを倒すなど、順調に勝ち星を重ねた。

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 指揮官は「戦力アップに加え、僕が選手の特長を理解し、選手も戦い方に慣れたのが大きい。失点もかなり少なくなりました」と説明。昨季の失点はリーグ最多タイだったが、今年は2番目に少なかった。

 迎えた横浜GSFCコブラとの最終戦は、引き分け以上で2位以内が確定し、関東社会人大会出場が実現する戦いだ。しかし昨季1勝1分の相手に1-2で屈してしまう。「悔しかった。今年は戦力が接近していたから、どのチームにもチャンスがあったのに……。統率するリーダーが欲しかったなあ」と残念がった。

 関係者は山田監督の指導ぶりをどう見ているのか。

 1部昇格を果たした当時の森田健・前監督は、「勝負どころを見分ける目がすごく、ここ一番での戦術眼はさすがです」と評した。背番号10のMF毛利大河は、「経験値が高いので学ぶもの、吸収するものが多い。普通の人とは着眼点が違いますね」と感心する。

 昨年までは相模原市内の中学校を借りて練習していたが、今季から横浜市内の人工芝グラウンドで水、土曜日に実施。来年は練習日を週3日に増やして強化により力を入れ、勝利ボーナスも支給する予定だ。

 新加入選手は随時募集中。就職希望者には代理人を介し、得意な業種や企業を紹介してもらい、引退後も仕事を継続できる制度がある。

 来季の続投が決まった山田監督は、「練習時間も増えるので来年はパスサッカーに磨きをかけ、関東社会人大会出場を最低限のノルマとし、優勝を狙いたい」と力こぶを入れた。

河野 正

1960年生まれ、埼玉県出身。埼玉新聞運動部で日本リーグの三菱時代から浦和レッズを担当。2007年にフリーランスとなり、主に埼玉県内のサッカーを中心に取材。主な著書に『浦和レッズ赤き激闘の記憶』(河出書房新社)『山田暢久火の玉ボーイ』(ベースボール・マガジン社)『浦和レッズ不滅の名語録』(朝日新聞出版)などがある。

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