南野拓実の少年時代 生粋の負けず嫌い…反骨心で磨かれた高精度スキル誕生秘話【ルーツを辿る】

南野拓実は森保ジャパンで最も得点を決めるなど、中心選手として活躍【写真:Getty Images】
南野拓実は森保ジャパンで最も得点を決めるなど、中心選手として活躍【写真:Getty Images】

「クーバー・コーチング・サッカースクール」の特殊な練習で磨き上げたターンとドリブル

「クーバーでは1対1のテクニックを毎週子どもたちに伝えていく。年間にすると30から40ぐらい。そのなかで拓実は、スクールの中でできなかったものを帰りに『コーチ、あれってどうやってやんの? 上手くできひんかったんけど』と聞いてくる。すると、翌週は右足も左足もできるようになっていて、『練習してきたで』と。ただ負けず嫌いなだけではなくて、自分ができないから悔しい。彼の特徴は外に原因を持っていかないこと。『あいつがいいパスをくれない』とかではなくて、勝つために自分は何をしないといけないのか、常に矢印は自分に向いている」

 そのなかで磨き上げたのがターンであり、ドリブルだ。「クーバー・コーチング・サッカースクール」では、1回80分間トレーニングがある。基礎練習では何百種類もあるボールコントロール方法を叩き込まれる。多彩なタッチの仕方を状況によって使い分け、自身に合ったターンやドリブル、フェイントなどを作り上げていく。さらに練習はフルコートではなく、フットサルコートで行う。あえて通常より小さなピッチで練習することで相手のプレッシャーが速くなる一方、ボール保持者にとっては素早い状況判断が求められ、必然的に技術も高まっていく。

 そのなかで、南野少年は習ったことをその日のうちにチャレンジする姿勢を貫いていたという。

「彼はドリブルが一つの大きな特徴だった。クーバーでも1対1のテクニックは毎週違うものをやりますけど、習うたびにゲームの中でチャレンジしていた。失敗したら悔しいから、もう一度チャレンジする。自分が持っている範囲でやるのではなくて、新しいことにどんどんチャレンジする姿勢は持っていた。あと、彼は常にゴールを意識しながらプレーしていた。ボールを持った時に体をゴールに向けるという意識のなかで、ターンの形を練習しようというよりはゲームになると、ゴールのほうに向こうとしてターンする数が増えていた」

 今の南野を作り上げている最大の強みでもある「ゴールに向かう」姿勢。少年時代から体に叩き込んだドリブルやターンは、リバプールに加入してプレミアリーグで屈強な相手と対峙しても武器として使い続けている。

 それでも、決して満足はしない。幼い頃から、どんな困難な局面に立っても真っ向勝負を挑み続けてきた。現在も世界最高峰のクラブで高い高い壁にぶち当たっている。だが、乗り越えるために努力を重ねる今こそ南野拓実の真価が発揮される時。少年時代に何度も何度も立ち向かったように、一歩先へ進むために挑戦を続けるはずだ。

page1 page2 page3

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング