広州恒大を完封した“笑顔の守護神”西川が王者奪還に燃える 「新たな歴史をつくる」

07年以来のACL制覇へ

 また、同32分には再びパウリーニョが西川の守るゴールを襲った。ペナルティーエリア外側のゴールまで20メートルほどの距離からミドルシュートを放ってきたが、西川はこれを足でセーブした。

「自分の視界からはパウリーニョ選手が完全にフリーの状況だったので、あの距離なら確実に枠にくると思いました。どんな取り方だろうと体に当ててやろうと思っていました。手が出なかったので、とにかく体で。おそらく、彼にしてみれば地面を蹴ったシュートミスなんですが、逆に嫌な回転が掛かってきました。腰ぐらいの高さからストンと落ちてくるようなボールでした」

 とっさの判断で足でのセービングに切り替えた。無理に体を折りたたんで手を出しにいけば、脇の下をボールがすり抜けてしまいかねない軌道だった。それだけに、体のどこに当たっても防ぐという開き直りが生んだファインセーブだったと言えるだろう。

 この日の勝利について「監督からも、『新しい歴史を作ろう』という話があって、一番それが胸に響きました。新しい歴史は一つ作れたと思いますが、まだ何も成し遂げたわけではないですし、成し遂げるための大事な1勝になったと思います」と、話した西川。浦和ゴールに君臨する“笑顔の守護神”が、2007年以来のアジア王者奪還に向けて最後方から支えていく。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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