「清武さんや香川さんに劣っているが…」 浦和の「新9番」武藤がACL広州戦で見せた“ワンタッチ・ゴーラー”の真髄

爆買いの王者を攻略した“消える”プレー

 そして、“爆買い”という流行のワードよろしく移籍金55億円でアトレチコ・マドリードからやってきたコロンビア代表FWジャクソン・マルティネスやブラジル代表MFパウリーニョなどのワールドクラスの実力者を擁する広州を沈める一撃に自信を深めていた。

「相手のスキを突いてゴールを決められて良かったと思います。チームとしても広州に勝って自信がつきます。レッズにはズラタンもいますけど、監督が注目されるファイナルだと思って、日本人がやれるところを見せてやれと言っていました。その試合で浦和らしいサッカーで勝ったことは良かったと思います」

 先月の国内組による日本代表候補合宿ではバヒド・ハリルホジッチ監督から招集を受けながら、ワールドカップアジア2次予選でのゲームでは選外になった。武藤は「自分自身、常に成長したいと思っている。香川さん、清武さんといった海外組に劣っていることは分かっています。追いつくにはこうやってチームで結果を残すしかないです」と語る。デビュー戦で代表初ゴールを決めた昨年の東アジアカップ以来になる日本代表入りも目標の一つにしている。そして、この日視察したハリル監督には「嬉しい」とゴールで強い印象を植え付けた。

 試合終了後もスタンドを沸かせた。「今年から9番を着るにあたって、チームを勝利に導くゴールを決めなければと思っていました」とグループステージ突破へのヤマ場となった広州戦での決勝ゴールを喜んだ。場内でのヒーローインタビューでは第一声で「勝ったぞおおお!!」と絶叫した男がレッズにとって2007年以来のアジア制覇へ向けた重要なゴールを再び決めてくれるはずだ。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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