「こいつはモノが違う」 元日本代表DFが脱帽、Jリーグで「衝撃を受けた3人」とは?
チームメートになってから興梠の凄さを痛感 「しなるようなバネがある」
永田は千代反田充と4バックの中央を形成し、ワシントンは永井雄一郎と2トップを組んで先発。浦和が1点を先取していた後半19分、田中マルクス闘莉王のパスを預かったワシントンは、ペナルティーエリアに入った瞬間、小さなキックフェイントでマーカーの永田をかわして右足で蹴り込んだ。
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この時、ワシントンが万能型のFWであることをトコトン思い知らされたそうだ。「とにかくフィジカルが強いうえ、190センチの長身なのに足もとも上手い。ちょっと反転したようなフェイントで抜け出されてゴールまで取られてしまいました。あのシーンの、あの失点だけはどうにも手が出なかった」と振り返りながら脱帽した。
2人目には13年から4シーズン、浦和でチームメートだったFW興梠慎三を指名した。
05年に鹿島アントラーズでキャリアをスタートさせた興梠は、8年間でリーグ戦49得点を記録。永田は「鹿島時代に対戦した時はいい選手だとは思いましたが、それほどスーパーとも感じなかったし、脅威でもなかった」と印象を述べた。
2人がリーグ戦で対戦したのは計9度。永田が新潟時代は5度で、興梠は1点も取っていないが、永田が浦和での2年目、興梠が鹿島での最終シーズンとなる12年4月7日、揃って先発した第5節で興梠は先制点を奪う。前半2分、右クロスが永田の頭上を通過し、遠いポストからヘッドで押し込まれた。
13年に浦和へやって来てから、永田の興梠を見る目が一変する。「チームメートになってこいつは能力が違う、モノが違うと痛感しました」と前置きすると、「少しくらいパスがずれても簡単に止めるし、ボールは奪われないし、体格がいいわけでも筋骨隆々というわけでもないのに、しなるようなバネがある」と言葉をつないだ。
浦和では余人をもって代え難し、という興梠ならではのプレーとゴールを最後尾から見ていた。「無理な体勢でトラップしても、そこから次の動きに移るのが早い。これには驚いたし、ほかにできる選手はいないと思いました」と感心する。
河野 正
1960年生まれ、埼玉県出身。埼玉新聞運動部で日本リーグの三菱時代から浦和レッズを担当。2007年にフリーランスとなり、主に埼玉県内のサッカーを中心に取材。主な著書に『浦和レッズ赤き激闘の記憶』(河出書房新社)『山田暢久火の玉ボーイ』(ベースボール・マガジン社)『浦和レッズ不滅の名語録』(朝日新聞出版)などがある。