輝きを取り戻した久保建英、スペイン人識者が高評価 「エメリのように有能な監督は…」

この日の実況を務めたホセ・マリア・ルビ・エスキーナス氏【写真:高橋智行】
この日の実況を務めたホセ・マリア・ルビ・エスキーナス氏【写真:高橋智行】

エスキーナス氏は久保の投入が効果的だったと強調 「クボの出来は良かった」

 そして後半18分に久保がペナルティーエリア内で足をかけられて倒れ、ファウルをアピールするもPKの笛は吹かれず。同28分にはMFダニエル・パレホのパスを受けてこの日最大のチャンスを迎え、ゴール正面からシュートを打つものの、惜しくも相手GKエドガル・バディアの好守に阻まれた。

 久保はその後も右サイドを主戦場に、同40分にエストゥピニャン、同アディショナルタイム2分にG・モレノへクロスボールを送りシュートチャンスを演出するも、ビジャレアルは最後まで点が取れず0-0で引き分けた。リーガ3試合連続ドローとなった一方、公式戦に14試合連続で負けていない。

 スィヴァススポル戦では低調なパフォーマンスを批判されるも、エルチェ戦で今季のリーガで2番目に長い出場時間を得て、前半停滞していたチームの流れを変えることに大きく貢献した久保に対し、試合翌日のスペイン各紙の評価は高いものになった。スペイン紙「マルカ」、「AS」ともにチームトップタイの2点(ともに最高3点)をつけている。さらにビジャレアルの地元紙「エル・ペリオディコ・メディテラーネオ」も、寸評で「最大の決定機を作った」と記し、チーム最高評価タイの6点(最高10点)を与えた。

 試合後、スペインのラジオ局「RNE(スペイン国営ラジオ)」で20年以上のキャリアがあり、この日の実況を務めたホセ・マリア・ルビ・エスキーナス氏に久保のパフォーマンスについて尋ねると、次のような印象を述べてくれた。

「ビジャレアルは前半、出来が悪かったので、試合に勝つためにタケ・クボが後半最初から投入されたんだ。チームに違うリズムを与える役割を担ったが、短時間でそれを成し遂げたと思う」と、久保の投入が効果的だったことを強調した。

「ウナイ・エメリは後半、前線にFWを2枚配置し、そこにボールを入れる策を取ったが、最初はパコ・アルカセルとジェラール・モレノにあまりボールが入らなかったので、タケ・クボがその役目を果たしていき、さらに彼には最大のチャンスが訪れた。今日のタケ・クボの出来は、とても良かったと思うよ」と高く評価した。

「久保が出場機会を求め、今冬の移籍市場でビジャレアルを離れることを望んでいる」と最近メディアで報じられたことについては、「結局のところ、タケ・クボはレアル・マドリードの財産だ。そしてレアル・マドリードが興味を持っているのは、より多くの出場時間を得てタケ・クボが成長できるかどうかだと思う。まだ、いろいろと分からないことが多い状況だが、一つだけ明らかなのは、タケ・クボはどこに行こうともエメリのように経験豊富で、非常に有能な監督と出会える可能性は非常に低いということだ。だから今後も、エメリと一緒に仕事に取り組むことに重きを置くか、それとも他の場所に行って出場時間を得るかについて、熟考する必要があるだろうね」と述べていた。

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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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