FW武藤嘉紀がアギーレジャパン初ゴールを決められた理由 迷いを打ち消す自信の源とは!?
ゴールのワケ
武藤は、迷うことなくゴールを陥れ、代表初ゴールを挙げた。それは4年前の体験が彼の中で生きているからなのかもしれない。小学4年からFC東京のサッカースクールに通い始め、そのままFC東京U-15、U-18と順調にステップアップしていった。2010年2月には、翌年の昇格候補としてトップチームの宮崎合宿の参加を勝ち取った。しかし、そこで華やかに映ってきたプロの厳しい現実を知った。目の色を変えてポジションを争う周りの選手たちに、一歩後ずさりした。
「すごく周りはピリピリしていて、毎日、早く練習が終わってほしいと思っていた」
武藤は結局、昇格の話を固辞して大学への進学を決めた。周囲の勧めもあったが、一番の理由は「自信がほしかった」というのだ。
慶応大学入学後、すぐに定位置をつかんだが、左膝の半月板を負傷して半年を棒に振った。「蹴ってもすぐに痛くなって、また水がたまるというのが何カ月も続いた」という。それでも「強くなるしかない」と、そのけがさえもバネにして研さんを惜しまなかった。
そして、大学2年の夏にはFC東京から再び声が掛かった。そこから2年連続でJリーグ・JFA特別指定選手となり、今季からは現役慶大生Jリーガーとなった。大学で育んだ「自信」は、迷いを捨て去るきっかけとなった。
だからこそ、彼はボールを持てば迷わない。自らの意志に従い、ゴールへと突き進む。試合後、指揮官からはスペイン語で「ムイビエン」(素晴らしい)と賛辞の言葉が贈られた。武藤は判断を間違わない。謙虚な男が手にする、揺るぎない自信がそうさせるのだ。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
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