久保建英はレアルにインパクトを与えたか 現地識者が現状を分析「主役級の役割を…」

試合実況を担当するアントニオ・ムエラス・ロペス・デ・アベラストゥリ氏【写真:高橋智行】
試合実況を担当するアントニオ・ムエラス・ロペス・デ・アベラストゥリ氏【写真:高橋智行】

レアル戦実況担当のアベラストゥリ氏「将来性豊かな選手だ」

 あと一歩で逆転という大きなチャンスを得た久保だったが、出場時間が短かったためスペイン各紙の評価対象にはほとんどならなかった。スペイン紙「AS」は「後半44分にモイ・ゴメスとの交代でピッチに入り、短時間ながらもクロースのイエローカードを引き出し、クルトワとの1対1を迎えたが、クルトワが素晴らしかった」、ビジャレアルの地元紙「エル・ペリオディコ・メディテラーネオ」も「2-1にする決定的チャンスがあった」と寸評したが、ともに採点なしとした。一方、スペイン紙「マルカ」は久保にラストチャンスがあったことを伝え、1点(最高3点)をつけている。

 試合後、スペインのラジオ局「RNE(スペイン国営ラジオ)」でレアル・マドリードとスペイン代表の試合実況を担当するアントニオ・ムエラス・ロペス・デ・アベラストゥリ氏は、久保の印象について次のように語っている。

「私はクボをとてもいい選手だと感じているよ。他の選手とは違うものを持っているし、スピードや爆発力を備えているからね。彼にはサッカーで重要なことを成し遂げるために必要なものが備わっている」と、サッカー選手としての能力の高さを評価した。

「今日は試合終盤に決定機があった。クボは試合に大きな刺激を与えることができ、将来性豊かな選手だ。彼に必要なのは出場時間だと思う。ビジャレアルにとって、この期限付き移籍がどれだけ良いものなのか私には分からない。なぜなら、あまり目立った活躍ができていないからね。もちろん、他のクラブだったらもっと多くの試合に出場できているだろう。しかし、もし出場時間を得ることができなければ、レアル・マドリードを説得することはとても難しいと思う」と見解を示した。

 さらにレアル・マドリード復帰に向けて重要なものとして、「とにかく出場時間だ! 出場時間を得て主役級の役割を演じなければいけない」と繰り返し主張した。すなわちこれは、久保が近年、前人未到のUEFAチャンピオンズリーグ3連覇を成し遂げているクラブに戻るために、ベテラン揃いの好調なビジャレアルでレギュラーの座を獲得するだけでなく、さらに中心選手にならなければならないことを意味している。

 ビジャレアルはバルセロナ戦に0-4と惨敗した後、エメリ監督がシステムを4-3-3に変更してメンバーを固定し、リーガ7試合を4勝3分と無敗をキープし好調であるため、現在、久保はレギュラーの座を勝ち取るのが非常に厳しい状況にある。

高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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