「監督をやり続ける意欲は?」 大敗直後に厳しい質問…独メディアの姿勢が代表を鍛える

「それが私の仕事」 ドイツメディアが貫く建設的な厳しさ

 インタビュー後、繊細なところへ突っ込んだ質問に対し、シュバインシュタイガーも「いい質問だったと思う。そこに切り込むのはなかなかできない。例えばイングランドだったら、まず無理な質問だから」と褒めると、オプデンヘーフェルは「それが私の仕事ですから」ときっぱり。

 歴史的大敗に指揮官がショックを受けているのは誰の目にも明らか。だが、それに同情するのもまた違う。批判的や屈辱的な表現をするわけではなく、あくまでも建設的にポイントを明らかにしていくことが求められているのだから。そうした厳しさのなかで選手も指導者もスタッフも、自分たちのパフォーマンスを高めていかなければならない世界だ。

 ブンデスリーガの試合後でも、失点に絡むミスをしたGKに対して「なぜあそこで、あの決断をしたのか?」とダイレクトな質問が普通にされるし、それこそ微妙な判定に対しては審判にモニターの映像を見せながら説明を求めたりをする。

 曖昧な言葉を濁したり、不必要なポジティブな声で誤魔化したり、現実離れした盛り上げもいらない。そうしたやり取りを乗り越えられなければならないプレッシャーのなかで、選手も、指導者も常に鍛えられているのだなと改めて感じた。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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