「絶体絶命すぎて逆に冷静でした」 ガンバGK東口が振り返る”ビッグセーブ”の舞台裏
10月の「月間ベストセーブ」に選出された第20節鹿島戦のセーブシーンを回顧
元日本代表GK楢﨑正剛氏が選出する10月の「月間ベストセーブ」に、ガンバ大阪の日本代表GK東口順昭が披露したセーブシーンが選ばれた。第20節の鹿島アントラーズ戦(2-0)で飛び出したビッグプレーの背景には、いったいどんな判断があったのか。本人へのインタビューから、舞台裏に迫った。
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「月間ベストセーブ」は「DAZN」のパートナーメディアで構成される「DAZN Jリーグ推進委員会」が立ち上げた一企画。かつて名古屋グランパスなどで活躍した元日本代表GK楢﨑正剛氏がセレクターとなり毎月、J1リーグの試合からベストセーブシーンを選出するなか、10月の「月間ベストセーブ」に東口のセーブシーン(第20節G大阪対鹿島)が選ばれた。
該当シーンが生まれたのは後半5分、鹿島陣内からハーフウェーライン付近に向けてDF犬飼智也が放り込んだフィードに対し、MF井手口陽介が処理を誤ると、そこから抜け出したMFファン・アラーノがDF昌子源を振り切り一気にゴール前へ。バックステップを踏みながらゴールマウスへ戻ったGK東口は1対1の大ピンチを迎えたが、ニアサイドへのシュートを見事な反応で防ぎ、難を逃れた。一連のシーンを、東口はこう振り返る。
「(昌子)源と相手の選手が1対1になった瞬間、『入れ替わってしまったら嫌だな』と思っていたら実際にそうなってしまった。(自分が)下がりながら時間を作ったんですけど、味方が戻って来られそうになかったので、できるだけ相手を引き入れて、自ら飛び込まないようにセービングしようと思いました。(ファン・アラーノ選手は)シュートの際、右足にボールを置いて打とうとしていたので、僕はファーを右足で消して、ニアでセービングをするという形でいけるかなと。決して、ニアをわざとあけて打たせるとか、そういう判断ではなかったんですけど、上手くセーブできましたね」
GKにとっては絶体絶命のピンチだった。1対1の状況になってからシュートに至るまで、およそ4秒。相手と味方の状況を見ながら定位置へと戻っていた東口は、とりわけ、最終局面で神経をとがらせたという。
「ボールの位置的にファーサイドを狙うのは難しんじゃないかなという感覚があったんです。だから、あのようなプレーを選択したんじゃないかと思うんですよね。あそこからファーに打つというのはなかなか難しい。ニアのイメージしかなかったです」
鹿島のファン・アラーノはニアサイドへのシュートを選択。東口の読みが当たり、大ピンチをビッグセーブで切り抜けた。攻撃側にとっては大チャンスだったこの場面で、結果的にはGKにとって有利な状況へと持ち込めた。
「あそこまで引き付けたら取りやすい距離だったので、結果的にはすごく良い間合いだったかな。凄いピンチでしたけど、絶体絶命すぎて逆に冷静でしたね。GKをやっている人だったら分かると思いますけど、『これ、入れられてもしょうがない』という感覚のほうが、気楽になれて良い判断ができることもあると思う。そういう意味で、すごく冷静になれたと思います」
東口はそう言って笑った。