勝負を分けた「迷い」と「理解度の差」 日本代表「メキシコ戦出場16人」を金田喜稔が採点

左SB長友の牙城を崩すか “左利き”の中山は「計算できるパフォーマンスを見せた」

<DF>
■中山雄太(ズウォレ)=★★★★

 長友が長年務めてきた左サイドバックの牙城を誰が崩すのかという課題に対し、10月の欧州遠征からの4試合で中山が一つの答えを示した印象を受ける。メキシコという格上相手との試合を考えれば、1対1の球際の強さや高さなど守備面で計算できるパフォーマンスを見せたことは大きい。また左利きの左サイドバックは、パスの受け手にとっても非常に楽な回転がかかってくるのでありがたい存在。ボランチもこなせる万能性、東京五輪世代でのキャプテンシーを含めて、負け試合のなかでも強豪メキシコを相手に今後への期待を抱かせるプレーを見せた。

■冨安健洋(ボローニャ)=★★★

 吉田とのコンビで相手エースのヒメネスを自由にさせなかったが、後半18分の失点シーンではカバーリングが一歩間に合わず、技ありのシュートを決められた。また同23分の2失点目の場面では、ラストパスを出した相手に寄せきれなかったが、チーム全体があれだけ後手を踏む状況のなかでは、難しい面もあっただろう。試合には負けたが、全体的に見れば冨安自身のパフォーマンスはそこまで悪いものではなかった。

■吉田麻也(サンプドリア)=★★★

 経験豊富なディフェンスリーダーとしては、悔しさがこみ上げる試合展開だったに違いない。格上のメキシコ相手に後半途中まではチームとしてコントロールできていたが、結果的に2失点。1失点目のシーンではヒメネスとの競り合いで防ぎきれなかった。敗れたものの、守備陣としてはワールドクラスの相手に対し、ある程度戦えた試合だった。

■酒井宏樹(マルセイユ)=★★★

 1対1で絶対に負けないという気迫、球際での激しさには自らのプレーに対する確かな自信を感じた。前半39分にはロサーノに対するスライディングタックルでイエローカードを受けたが、映像を見る限りはボールに行っていた。本人もその手応えがあったからこそ、レフェリーに抗議したのだろうが、そうした振る舞いにも海外経験の豊富さを感じた。一方の攻撃面では特に後半、もう少し高い位置でサイドハーフと絡むようなシーンを作りたかった。

<GK>
■シュミット・ダニエル(シント=トロイデン)=★★★

 持ち味であるビルドアップでは相手のプレッシャーを受けても慌てずにつなぎ、持ち味を発揮していた。一方、失点シーンに関しては相手のシュート技術を褒めるべき部分はあるが、メキシコの守護神オチョアと比較すると駆け引きに学ぶべき点があったように思う。相手FWが迫るなかで、いかにポジショニングを細かく変えながらシュートコースを狭めていくか。経験がものをいう部分ではあるが、相手のミスを誘発するような駆け引きのレベルを上げてほしい。

金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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