勝負を分けた「迷い」と「理解度の差」 日本代表「メキシコ戦出場16人」を金田喜稔が採点

11月の2試合で評価を上げた鎌田【写真:AP】
11月の2試合で評価を上げた鎌田【写真:AP】

鎌田のわずかなコントロールミスを逃さなかったオチョアの守備

■鎌田大地(フランクフルト/→後半32分OUT)=★★★

 11月の2試合で評価を上げたのは間違いない。球際の競り合いで体を張れて、以前よりも守備面での貢献度も明らかに高くなった。森保監督のチーム作りにおける基準はクリアしているので、あとはトップ下として鎌田の攻撃面での良さをアタッキングサードでどこまで出せるかだが、今回のメキシコ戦では悪いパフォーマンスではなかったものの、結果的に得点に絡めなかった。個人的に少し残念だったのは前半10分のシーン。ペナルティーエリア左で受けて対峙した相手をかわして縦に突破。ゴール前へのラストパスが鈴木にわずかに合わなかった場面だが、相手をかわした後のファーストタッチが少し体から離れてしまった。その瞬間を見逃さずにGKオチョアが前に出てきたことで鎌田も少し慌ててしまい、ラストパスの正確性を欠いたように見える。良いGKは相手がシュートを打つ体勢ではないと思ったら、一気に距離を詰めてくる。あの場面で正確なファーストタッチができていれば、もう少し余裕を持って次のプレーを選択できたかもしれない。

■伊東純也(ヘンク/→後半40分OUT)=★★★

 個人的に伊東にはもっと期待していたが、メキシコ戦では右サイドでやや孤立していた。ボールを受けた時も自ら仕掛けていくのか、酒井の上がりを待つのか、中に切り返してクロスを上げるのか、抜かずにクロスを上げるのか、そうした状況判断が少し整理できていない印象だった。前半28分には右サイドを駆け上がってマイナスクロスも中央で誰にも合わず。鈴木がニアに飛び込んだ背後のスペースに誰かが入ってきてほしいという思いもあるが、1試合を通したクロス精度には課題を残した。

■遠藤 航(シュツットガルト)=★★★

 パナマ戦に続いて守備の局面で行くところは躊躇なく行けるし、攻撃時にも自分が起点を作る意識が非常に高く、柴崎との良好なコンビネーションを含めて全体的に悪くなかった。だが後半は、メキシコがボランチを2枚に変えるなど動いてきたなかで、ジレンマがあったように感じる。自分が相手ボランチのところまで行くべきか、あるいはパスをつながせていったん引き、相手がサイドを起点にした時に柴崎と分担してプレスをかけにいくべきか。そうした「迷い」のなかで、後半は少しミスにつながった部分があったのかもしれない。

■柴崎 岳(レガネス/→後半12分OUT)=★★★★

 やはり多くの試合でコンビを組んできた遠藤との関係性が、柴崎にとっては心地良いのだろう。低調だったパナマ戦に比べてポジショニングに迷いがなく、スムーズにボールを引き出し、的確にパスを配球。特に前半は効果的な縦パスを何本も入れており、柴崎の特長である展開力が日本の攻勢を後押ししていた。結果的にゴールにはつながらず、試合にも敗れているが、2失点とも柴崎がベンチに下がってからのものだったことを踏まえれば、及第点以上の評価を与えていいだろう。

金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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