2020年10月 Ｊリーグ月間ベストセーブ by 楢﨑正剛　東口順昭（G大阪）

　白熱した戦いが繰り広げられた10月のJ1リーグでは、数々のビッグセーブが生まれている。GKによるハイレベルなセービングの中から、「DAZN」のパートナーメディアで構成される「DAZN Jリーグ推進委員会」の企画として、元日本代表GK楢﨑正剛氏に「月間ベストセーブ」をセレクトしてもらった。

　今季のJ1リーグは、新型コロナウイルスの影響による中断を挟み、シーズンの終盤戦を迎えている。先月には第20節～25節の6節分を消化（延期分、AFCチャンピオンズリーグ出場組の前倒し分除く）したなか、楢﨑氏が10月の「月間ベストセーブ」に選んだのは、第20節ガンバ大阪対鹿島アントラーズ（2-0）で飛び出したGK東口順昭（G大阪）のセーブシーンだ。

　該当シーンが生まれたのはスコアレスで迎えた後半5分、鹿島陣内からハーフウェーライン付近に向けてDF犬飼智也が放り込んだフィードに対し、MF井手口陽介が処理を誤ると、そこから抜け出したMFファン・アラーノがDF昌子源を振り切り一気にゴール前へ。バックステップを踏みながらゴールマウスへ戻ったGK東口は1対1の大ピンチを迎えたが、ニアサイドへのシュートを見事な反応で防ぎ、難を逃れた。まさに“神業”とも言えるセービングを見せたこの局面について、楢﨑氏はこう指摘している。

「シュートまでの時間がある程度あって、しかも、相手はフリー。攻撃側が圧倒的に有利という状況を少しでも覆すために、GKとしてはシュートへ持ち込まれる直前のプレーのどこかでミスが起こらないかを見るんですけど、このシーンではそうしたこともなかったかと思います。シュートを打たれた時にしっかり動く、的確なポジショニングを取ってプレーをするしかないなか、最終的には上手く対応できていたと思います」

　このシーンで問われたのは、守備側が劣勢をいかに跳ねのけるかだ。1対1の局面になった時点からシュートに至るまでにかかった時間はおよそ4秒。この間、東口に余裕があったわけではない。ピンチを迎える直前まで、最終ラインの背後をカバーすべくペナルティーエリアの外へポジションを取っていた東口。そこから一気に形勢が逆転し、攻められている状況を確認しながら、定位置まで戻る動作を同時にしなければならなかったからだ。