単身スペイン挑戦から7年 不屈のゲームメーカーが2部Bの先に見据える“大きな野望”
吉村が考える10代で海外に出る意義「環境が整っていてコーチ・選手のレベルも高い」
男女問わず、日本人選手がスペインリーグに挑戦した際、テクニックの高さはもちろん、激しいフィジカルに衝撃を受けたという声は少なくない。吉村も身長177センチと決して体躯に恵まれたわけではないが、15歳からスペインに挑戦してきたからこそ、アジャストできている部分があると語る。
「フィジカルの課題はスペイン1、2年目くらいからずっと感じてきました。日本人とスペイン人ではプレスのかけ方が違います。僕の感覚的には、日本は止まって見てくれるというか、少しだけスペースを空けて相手の出方を探るのが主流。でも、スペインだとその距離さえも空けてもらえなくて、半歩距離が近いイメージです。逆に、飛び込んで来てくれる分、さっとかわしやすい面もありますけどね。スペインと日本の両方を経験しているのが自分の強みだと思っていて、スペイン人にない日本人らしさ、チャンスメーク、流れを作るプレーで勝負していきたいです」
吉村はスペインの下部組織から地道に経験を積み、一歩ずつカテゴリーを這い上がってきた。18歳までの3年間、FIFA(国際サッカー連盟)の未成年ルールにより公式戦に出場できない我慢の時も過ごしたが、10代から海外に出る意義について自身の考えを明かす。
「僕は日本でエリートではなかったし、そもそもJリーグが見えるような環境にいませんでした。『海外』と聞くと、すごく上手くないと行けないイメージがあるかもしれないけど、1人の選手としてしっかり見てくれる、ゼロから挑戦できるという意味で、海を渡る意義があると思います。スペインの下部組織は環境が整っていて、コーチ・選手のレベルも高いので、そこにいるだけで成長できるし、トップチームが隣のグラウンドにいたりして、上(への道)も見えてくる。ラージョ(・バジェカーノ)時代、ミチェル監督(現在はスペイン1部ウエスカを指揮)からは、『このユニフォームを着ている限り、このクラブの選手だ。決して負けてはいけないし、変なサッカーをしてはいけない』と言われて、勝負にこだわる姿勢も学びました」