単身スペイン挑戦から7年 不屈のゲームメーカーが2部Bの先に見据える“大きな野望”
今年9月にアーロ・デポルティボと契約し、10月の開幕節でセグンダBデビュー
テネリフェとの契約が満了を迎えたなか、今年9月17日にセグンダBのアーロ・デポルティボへの移籍が決定した。前触れもなくアイトール・カジェ監督から連絡が入った形だったが、パスやボールの運び出しの感覚が「ほかの選手にないユニークな点」として、評価と期待を受けた結果だった。
セグンダBは日本代表MF安部裕葵がプレーするバルセロナBも所属するカテゴリー。“実質3部”とはいえ、5グループに計100クラブがひしめく過酷なリーグだ。吉村の現エージェントである門田直輝氏は、その難しさをこのように説明する。
「例えば、昨季に柴崎岳選手が所属していたデポルティボは降格して今季はまだ強さを見せられていませんし、以前に井手口陽介選手がいたクルトゥラル・レオネサも降格後はなかなか2部に昇格できていません。レアル・マドリード、バルセロナ、アトレティコ・マドリードのBチームのように同世代の選手が集まるチームもあれば、1部、2部にいてもおかしくないクラブもいるので、試合の強度、スタジアムの雰囲気、駆け引きなどセグンダBで得られる経験は、吉村やほかのスペイン人の若手選手にとっても大きいものだと思います」
吉村はセグンダB開幕節カラオラ戦(0-1)で後半42分から途中出場して3部デビューを飾ると、10月31日の第3節オサスナB戦(0-1)は後半24分からプレー。怪我もあって1年以上実戦から遠ざかっていた試合勘やスピード感の懸念は徐々に解消されつつある。自身初のセグンダBは、発見の連続だという。
「(セグンダBは)テルセーラよりもスピードが速い。守備的戦術がしっかりしていて、ボールをフリーで持っていても、どこかで“持たせられている感覚”があったりします。ピッチ外でも得られるものが多いですね。スペイン人選手は練習時間ギリギリくらいに来る傾向がありますけど、25歳以上の選手たちは練習に来るのも早くて、ストレッチやマッサージのケアも念入りにしています。試合後の全員ミーティングも内容が濃くて、自分が試合の内外で感じられなかったこと、ほかの選手から出てくる言葉が勉強になるので、チームメートから刺激を受けています」