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クライフ「14番の伝説」 控え選手の番号を、特別な数字に変えた偉才のカリスマ
クライフが「14」を選んだ理由とは…
一つは縁起担ぎである。アヤックス(オランダ)の下部組織に在籍していた14歳の時に、背番号14を身につけ、ジュニアユースの大会に優勝。彼にとって、それが人生初のタイトルであり、自身に幸運をもたらす数字として「14」に愛着を持った、という話だ。
もう一つは偶然である。固定番号制が導入された当時、背番号を登録するためクラブハウスへ赴いたら、すでに「2番」と「14番」しか残っておらず、二択の結果、後者を選択して以来、好んでつけるようになったという。
後者の話は、異常にテンションの高い最初のエピソードと比べると、やや拍子抜けの感もある。いや、これはこれで、実にクライフらしいと言えるのかもしれない。
「背番号がプレーするのではない。私自身がプレーするのだ」
いかにも、そんなセリフを口にしそうな人である。あるいは「重要なのは背番号ではない。どうプレーするかだ」なんてフレーズもお似合いだろうか。
そう考えると、2つ目の縁起担ぎの逸話は、常人離れしたクライフのイメージに少々、そぐわないような気もする。いったい、2つの説のうち、どちらが真実なのか――。もっとも、クライフ風に言えば、こういうことかもしれない。
「真実は何か。それが問題なのではない。重要なのは、あなた自身がどう感じたかだ」
背番号をめぐる逸話ひとつとっても、大いに謎めいている。凡人にはおよそ理解しがたいクライフらしさの証しだろうか。