“遠藤抜き”のチームは今や考えられない 「すべてに速い」独1部、球際の攻防で急成長
1対1での競り合い勝利数「101」は、リーグトップの数字
前節シャルケ戦は1-1の引き分けに終わったが、この試合でも遠藤の存在でシュツットガルトは中盤を掌握することに成功。この試合、両チーム合わせて最多となる1対1の競り合い35回に挑み、19回に勝利している。また、この試合で一番ファウルをもらった選手も遠藤だった。ちなみに今季、ここまでの1対1での競り合い勝利数「101」は、リーグトップの数字だ。
貢献しているのは、守備だけではない。攻撃面でも中盤の底からリズムを作りながら、つなぎの役割をこなしているだけではなく、リズムを変える縦パスで攻撃のチャンスを作り出し、さらにフィニッシュの局面でも頻繁に顔を出しているのが素晴らしい。シャルケ戦では3本のシュートをマークしている。
今季ここまで全6試合にフル出場。ここ最近は股関節周辺の問題のため、試合後数日は個別に調整することが増えているが、週末の試合に向けて「遠藤は間に合うのか」と地元メディアに報じられている。今や遠藤抜きのスタメンが考えられないほど、チーム内で重要な選手になっていることの表れだ。
昇格組のシュツットガルトだが、第6節終了時点で勝ち点9の7位。ひょっとして上位でシーズンを終えることができるんじゃないかと、期待に沸くファンや地元メディアも出てきている。だが、スポーツ・ディレクター(SD)を務めるスヴェン・ミスリンタート氏は、「早くに喜ぼうとは思っていないよ。調子がいいからといって次のフランクフルトとホッフェンハイムの試合で連敗するかもしれない。そして、その次の試合はバイエルン戦だ」と、その熱狂にブレーキをかける。
焦ってはいけない。自分たちは昇格クラブであり、これから基盤を作り上げていく段階だからだ。あくまでも目標は1部残留。シュツットガルトは攻守にブレのないパフォーマンスを見せてくれている遠藤とともに、着実に勝ち点を積み重ね続けていくつもりだ。
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(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。