“神奈川ダービー”で敗戦の横浜FC、“狙い”の攻撃が機能し切らず 無得点のなかで収穫は?
サイドハーフの仕掛けを目論むも、湘南のブロックを崩し切るまで至らず
J1リーグ戦第25節、湘南ベルマーレがホームBMWスタジアムに横浜FCを迎えた“神奈川ダービー”は、湘南が指宿洋史の決勝ゴールによって1-0で勝利を収めた。ニッパツ三ツ沢球技場で行われた第10節は横浜FCが前半21分までに4ゴールを挙げて4-2で勝利しており、「前回、非常に悔しい負け方をした」(浮嶋敏監督)湘南が雪辱を果たした格好だ。
この試合、横浜FCは攻撃陣を前節から大幅に入れ替えた。2トップは2試合ぶりのスタメンとなる一美和成と、8試合ぶりのスタメンの齋藤功佑。左サイドハーフには夏に横浜F・マリノスから期限付き移籍で獲得し、今回が初のスタメンとなる杉本竜士。そして右サイドハーフには体調不良で3カ月以上も戦列を離れ、前節の札幌戦でようやく復帰し途中出場した中山克広を起用した。
左右のサイドハーフとして不動のレギュラーだった松尾佑介と松浦拓弥が相次いで負傷離脱し、前節では左にFWが本職の草野侑己、右にボランチが本職の瀬古樹を起用した苦しい台所事情。そのポジションでのプレーを得意とする杉本、中山に期待が集まったが、結果としては彼らの活躍からゴールは生まれなかった。
「竜士にはトランジションの早さ、攻守の切り替えの部分を。中山には彼らしいスピード、突破を期待した」と話したのは、横浜FCの下平隆宏監督。松尾が負傷した第22節のベガルタ仙台戦から3試合で1ゴールしか挙げられていないことと、「相手の狙い、システムとの関係」から、湘南戦では攻撃の立ち位置を変更した。
従来はサイドハーフが中に絞り気味にポジションを取り、サイドバックを高い位置に上げていたが、「サイドバックはわざと低くポジションを取った」。そのぶん攻撃時にサイドバックの支援は薄くなるものの、杉本と中山はウイングの位置に構えて勝負させる狙いだった。
その狙いは、半分は奏功した。ボールを奪ったらすかさずサイドバックの裏のスペースに大きく蹴り込んでくる湘南の攻撃の一番怖い部分は、試合を通じて消すことに成功。ビルドアップもハーフウェーラインを越えるところまでは上手くいった。ただ、そこから崩しの部分で杉本と中山を生かし切れなかった。湘南は守備時には5-3-2のブロックを作り、杉本と中山にはウイングバックが素早く対応。サイドバックの位置取りが低いことと、中央の選手が守備の間で受けて引きつけることができず、彼らが良い形で勝負できる場面は少なかった。