テロ事件が及ぼす暗い影 在籍8年のアンデルレヒトFWが今夏のベルギー国外移籍を明言
日常生活での恐怖を語るアルゼンチン人FWスアレス
ベルギーの爆弾テロ事件は、プロサッカー選手のキャリアをも大きく揺るがしている。首都ブリュッセルを本拠地とする名門アンデルレヒトFWマティアス・スアレスは、同市内で多数の死傷者を出したテロの恐怖から、今季終了後に移籍することを明言した。スペイン地元テレビ番組「チリンギート」が報じている。
27歳のアルゼンチン人ストライカーは、2008年からベルギーの強豪で活躍。公式戦通算237試合に出場し、67ゴールを決めている。
「この素晴らしい国のせいではない。私はベルギーと人々を愛している。だが、妻と話して家族の安全のために6月に移籍することを決めた」
ブリュッセル市内の空港と駅が爆破され、ベルギー代表が市内で予定していたポルトガル代表との親善試合は中止になった。
22日の事件の際は練習場に向かっていたという。「すごく恐ろしかった。娘に無事を確認するために電話した。電車もストップした。家族のことを思うと恐ろしかった。パリで事件が起きた後、誰もが変わった。ショッピングセンターに出かける人も減った。恐怖から外出が減った」とスアレスは語る。昨年11月のパリ市内で起きたテロ事件の首謀者は、ブリュッセル市内で計画を練ったことがすでに明らかになっている。
テロの恐怖はストライカーの心を完全に蝕んでいた。治安に不安を抱えるベルギーで、今後も国外移籍を希望するフットボーラーの数は増えるかもしれない。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images
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