「10番」なきイタリア代表の現実 カルチョの国からファンタジスタは失われたのか

スター不在を象徴する悲しき現実

 では、プレーメーカーであるMFリッカルド・モントリーボや、テクニック十分なMFジャコモ・ボナベントゥーラといったACミラン勢はどうか。これもまた、代表チームで絶対的なレギュラーと言い難い上に、チームの背番号10を日本代表FW本田圭佑が背負っている現状では、伝統に対して十分な条件を満たさない。

 最終的に、フランスで行われる本大会で誰がこのエースナンバーを背負うのか。今回のメンバーに招集していない、マルコ・ベラッティ(パリ・サンジェルマン)に背負わせる可能性はあるだろう。もしくは、チームの象徴と割り切って、ベテランのMFアンドレア・ピルロ(ニューヨークシティFC)に託してしまえば収まりが良いのかもしれない。もちろん、そのこと自体が現在のイタリアにスターと呼べる存在がいないことを証明してしまうのだが……。

 今季のUEFAチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグで、イタリア勢はベスト8にどのチームも残ることができなかった。リーグで上位を争うユベントスやナポリも、攻撃陣の中心には外国人選手が君臨している。そうしたことの象徴が、最終的に代表チームの背番号として表れているのが、イタリアの現状なのだろう。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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