プレミア、“コロナ余波”で筋肉系負傷が急増 プレシーズン短縮で前年度比42%増「緊急性感じている」
開幕から5週間…78件の負傷 「野心的なチームは肉体的な不可を急激に上げたのかも」
イングランド1部プレミアリーグで選手の筋肉系負傷の割合が前年度比42%も増加していると英メディア「The Athletic」が報じた。新型コロナウイルス感染拡大の余波でプレシーズンが短縮され、過密日程を余儀なくされた影響が懸念されている。
2020-21シーズンのプレミアリーグ開幕から約5週間。現時点で、選手が筋肉を痛めたケースは全体で78件あるという。これは肉離れや筋攣縮、筋肉の緊張などから起こる負傷で、選手の疲労に欠場や直接的な接触によって起きた負傷は含まれていないという。
同様の負傷に関して、2018-19シーズンは同時期で55件、17-18シーズンは34件、16-17シーズンは47件だったという。また、昨シーズンとの比較では42%増加したともレポートされている。
17-18シーズンからは2倍以上の増加で、記事では「2020-21シーズン最初の5週間の兆候は、筋肉系の負傷に関して記録的ワーストシーズンになる可能性が高いことを示している」と指摘されている。
ドイツのイエナ大学のジョエル・メイソン博士はこの問題について、開幕前のプレシーズンが短縮されたことにより、長いシーズンを戦う上での基礎的な体作りが十分でなかったのではと話している。
「野心的なチームは肉体的な不可を急激に上げたのかもしれないし、別のクラブではフットボールの面に特化したセッションを優先させるために通常のフィジカルとレーニングを犠牲にしたのかもしれません。プレシーズンが短くなったことで緊急性を感じているのかもしれません。
また、毎週複数の試合を行うチームのスケジュールがタイトになると、リカバリーと次の試合の準備を両立させなければなりません。試合から完全に回復するには72時間掛かることもあります。試合の間隔が短いと筋肉の負傷率が上がる理由はこのためです」
新型コロナウイルスの感染拡大によって昨シーズンは欧州各国リーグの多くが3月から6月まで約3カ月間の中断を挟んだことで、シーズン終了は7月に後ろ倒しとなった。その結果として今季開幕前のプレシーズンは短くなり、十分な休息も準備期間もないままに開幕を迎えていた。
過酷な過密日程でのシーズンについて、マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督やトッテナムのジョゼ・モウリーニョ監督などトップクラブの指揮官たちも苦言を呈している。
“ウィズコロナ”の中で開幕を迎えた20-21シーズンのプレミアリーグだが、このままでは最も負傷者の多いシーズンとして人々の記憶に残ってしまうことになりそうだ。
(FOOTBALL ZONE編集部)