久保建英への「無条件の賛辞は害を及ぼす」 スペイン人記者が語る1G2Aの“リアル評”
リサラガ記者は課題を指摘 「コンスタントにプレーに関与する必要がある」
スペイン各紙の久保の評価について、試合翌日のスペイン紙「AS」は2得点のFWパコ・アルカセルと並ぶ最高の3点、スペイン紙「マルカ」は2点(最高3点)をつけた。そしてビジャレアルの地元紙「エル・ペリオディコ・メディテラーネオ」は、「チャンスを逃さず1得点1アシストを記録し非常に力強く試合をスタートしたが、少しずつパフォーマンスが落ちていった」と評し、6点をつけている(最高10点)。
ビジャレアルを約20年追い続ける「エル・ペリオディコ・メディテラーネオ」紙スポーツ部チーフ、ホセ・ルイス・リサラガ記者に試合後、様々なメディアが大絶賛したこの日の久保のパフォーマンスを振り返ってもらった。
「タケ・クボにとって最も出場時間が長く、成長するために重要な機会となるヨーロッパリーグデビューを果たした試合となった。私は彼がチャンスを生かしてゴールを決めたことをとても気に入っているし、それ以上にバッカのスーパーゴールのアシストがもっと好きだった」と、得点を生み出したプレーを称賛した。
しかし、「みんながタケのゴールやアシストについて称賛しているが、彼は試合を通じてもっと継続してプレーに参加する必要がある。守備の意識は見えたが、エメリが修正を求めていたように、もっと守備をやらなければいけないし、他の選手が前線で残っている時、守備をするために戻る必要がある。タケはより厳しいものをエメリに求められているんだ。ビジャレアルのレベルはとても高いので、リーグ戦でスタメン入りするためには必死に努力し、コンスタントにプレーに関与する必要がある」と守備面に課題を残していることを指摘した。
「タケは間違いなく素晴らしい才能を備えているし、まだ19歳だが、スペインサッカーや欧州サッカー、そしてビジャレアルの要求度は非常に高い。レアル・マドリード寄りのメディアの、無条件の賛辞に耳を傾ける必要などない。なぜなら、それは選手に害を及ぼすことになるからね」と、一部のメディアが久保のパフォーマンスを誇張して伝えていることを訴えた。
「もしビジャレアルで試合に出場したいなら、もっと継続したプレーを見せる必要があるし、レアル・マドリードでプレーするとなると、言うまでもなくパフォーマンスを遥かに安定させる必要がある。昨日のようなクオリティーのプレーやゴールは、私にとってはそこまで価値がないものだ。なぜなら、あれは副次的なものだからね。タケはもっともっとプレーに参加し、コンスタントに絡む必要がある。繰り返すが、彼はとても若いが、もっと激しくなり、安定したプレーを見せなければいけない」と見解を述べ、断続的ではなく、90分間を通じたクオリティーの向上を求めた。
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。