「プライドが許さない」 アジア最終予選で落選した関根貴大が誓う逆襲
2016年1月、AFC U-23選手権で見事に優勝し、リオ五輪出場権を獲得した手倉森ジャパン。あの激闘から約2カ月が過ぎ、チームはポルトガル遠征に出発し、現地ではU-23メキシコ代表との親善試合を実施。ここからはいよいよ、8月のリオ五輪本大会メンバーの椅子を懸けたサバイバルが始まろうとしている。
1月のAFC U-23選手権を戦うチームに招集されなかった関根貴大(浦和レッズ)が、このポルトガル遠征で巻き返しを図っているのは間違いない。そんな彼は昨年11月、リオ五輪出場を懸けた最終決戦を前にこう話していた。「自分のプライドが許さない」、と。
このセリフは、いったい何を意味しているのだろうか。世界への飛躍を誓う男が語った、強まるリオへの思いとは――。
関根が佐賀合宿で見せた好パフォーマンス
周囲の評価と自身の評価が合致しない、ということは往々にしてあるものだ。
周囲の高評価とは裏腹に、自身は全く納得していない――。それが、2015年10月に行われた、U-22日本代表の佐賀合宿を終えた時点での、関根貴大の心境だった。
高卒のプロ2年目(当時)でありながら、浦和レッズでは押しも押されもせぬレギュラーとなった関根だが、これまでは”なぜか”U-22日本代表に呼ばれることがなかった。
そんな関根がついに初招集されたのが10月の佐賀合宿だった。ここで組まれた福岡大とサガン鳥栖との2つの練習試合で、関根は右サイドハーフとして続けて先発出場を果たす。
とりわけ出色の出来だったのが、福岡大戦である。サイドでボールをキープして時間を生み出したかと思えば、周囲とのパス交換からインサイドに潜り込み、アウトサイドキックからのスルーパスで遠藤航のシュートを導いた。試合後には、手倉森誠監督から「スピードとドリブルだけでなく、間や意外性のあるパスも見せてくれて、チームのアクセントになり得る存在」との賛辞を引き出すことに成功している。
鳥栖戦では福岡大戦ほどのインパクトは残せなかったものの、チームのチャンスは関根のいる右サイドから生み出され、チャンスメーカーとしての役割は十分にこなしていた。
一発回答――。
関根が見せたパフォーマンスは、そう評価していいように思われた。
ところが彼自身は、全くそう感じてはいなかった。
「いや、どうですかね。悔しいです。結果を残せなかったので」
鳥栖戦後の囲み取材が解けた後、「良いアピールができたのでは?」と声を掛けると、悔しそうな表情でつぶやいた。
それから1カ月。あらためて”あの感想”についての真意を語ってくれた。