これが清水の目指すサッカーなのか シュート数“2対15”、実質5バック…攻撃の形はどこへ?
現状のままで、チーム改革のためにクラモフスキー監督を招聘した意味はあるのか
先制点を奪い、複数失点を防ぎ、連敗は止まった。しかし、これがクラモフスキー監督や選手たち、そしてクラブが目指したサッカーなのだろうか。3勝4分17敗の勝ち点13の暫定16位の成績では、「勝ち点のためには仕方がない」と割り切って戦うしかないのだろうか。ならば2011年以降の低迷、そしてタイトルでいえば2001年度の第81回天皇杯制覇以来、18年間無冠のチームを改革するために招聘したクラモフスキー監督が、指揮官である意味はあるのか。
クラモフスキー監督はこの改革を登山にたとえているが、現状の低迷はその目指す山が険しすぎるのか、ルートやコースが間違っているのか、服装や装備が足りないのか、登山ガイドが未熟なのか、登頂する意欲が乏しいからなのか。
「降格がないシーズン」であっても、勝負に拘らなければいけないのは当たり前だ。もちろん、“勝てない”ことが“勝負に拘っていない”ことに直結するとは思っていない。ただ、自陣ゴールを必死で守るチームに対して、前半36分にリモート応援とは関係なく自然発生した手拍子だけの清水のチャントは、声を出して応援できないサポーターの心の叫びが聞こえるものだった。選手やサポーターが山道で迷子になる前に、クラブが一枚岩となり、今シーズンのスローガン「RE-FRAME」の意味をもう一度再確認してほしい。
下舘浩久
しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。