森保ジャパン、“悪くはない”が…「運次第」の現状 今後のカギは「ビルドアップの進化」
ビルドアップで相手を引かせられれば、1トップに大迫以外の選択肢も出てくる
もう一つは、今後の編成に「ビルドアップの進化」が関係してくるという側面だ。
ビルドアップで相手のハイプレスを外せないと、FWへのロングボールが多くなる。日本のFWで相手を背負ってロングボールを収められるのは大迫勇也(ブレーメン)しかいない。しかし、ビルドアップで相手を引かせることができれば、トップへ浮き球を蹴らなくてもよくなる。そうすると大迫以外の選択肢が出てくる。
コートジボワール戦では短い時間ながら、南野拓実(リバプール)をトップに起用していた。南野をここに置けるなら、トップ下は空席になる。そしてトップ下候補は鎌田大地(フランクフルト)、久保建英(ビジャレアル)、中島翔哉(ポルト)など多くの人材がいる。接戦ベースのW杯を考えると、サイドには守備力の高い選手が必要なので、鎌田、久保、中島、三好康児(アントワープ)、あるいはまだA代表には呼ばれていないがJリーグで好調の三笘薫(川崎フロンターレ)をサイドで使うのは厳しい。一方で、ロシアW杯時の香川真司(サラゴサ→無所属)のようなクリエイティブな選手がいないと攻撃にならないだろう。
南野はサイドでもやれるが、最も得点力のある南野をサイドで使うのはもったいない気もする。そこで南野をトップに、トップ下にクリエイティブなタイプを置ければ、攻守の悩みを解決できる道筋はつけられる。ただ、その前提は極力ロングボールを蹴らないということで、つまり「ビルドアップの進化」が編成のカギになるわけだ。
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(西部謙司 / Kenji Nishibe)
西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。