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VARは「サッカーを壊す可能性もある」 UEFA会長、“映像確認ありき”の運用に警鐘
チェフェリン会長が世界的スタンダードになりつつあるVARについて独自見解
欧州サッカー連盟(UEFA)のアレクサンダル・チェフェリン会長は、世界的にスタンダードになりつつあるビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)について、「サッカーを助けるが、サッカーを壊す可能性もある」と運用に警鐘を鳴らしている。イタリアの経済とサッカーの専門メディア「カルチョ・フィナンツァ」で語った。
VARは2018年のロシア・ワールドカップ(W杯)でも導入され、今や各国のトップリーグではほとんど導入されているように世界的スタンダードになりつつある。チェフェリン会長は、そのVARの存在を前提にしたかのようなルール改正を含め、サッカーの行く末について警鐘を鳴らしている。
「ここ数日、代表チームの試合ではコミカルな状況すら目にした。同じプレーがある方法(リアルタイムの主審のジャッジ)で判定され、他方(VAR)では反対の判定をされる。しかし、センチメートル単位のオフサイドや、PK中にGKが数センチメートルだけゴールラインから離れたことを一生懸命に見るよりも、他に議論することがあるはずだ。これを繰り返し映像で確認するのは理に適っているだろうか。VARはサッカーを助けるが、サッカーを壊す可能性もある。VARがなくなることはないだろうが、改善の余地がある」
チェフェリン会長はかねてから、スロー映像とストップモーションでしか判別できないようなオフサイドは、VARで細かく確認して反則にする必要がないという立場を明らかにしていた。それと同様に、PKでボールが蹴られる瞬間までGKはゴールライン上にいなければならないというルールを、あまりにも厳格にVARで判定することにも反対の立場を示している。
VARの導入は、ゴールや退場処分といった試合の行方に大きく関わるミスジャッジが減るという恩恵があるのは間違いない。また、その存在が選手たちや観客へ、判定への納得感を強めるのも事実だろう。
一方で、映像を駆使して「反則を探しにいく」行為が必要なのかどうかは議論の分かれるところだ。今後も、VARの運用を巡っては多くの議論が起こり、修正が重ねられていくことになるだろう。
(FOOTBALL ZONE編集部)