植田直通、故郷に贈る劇的弾 高校時代「マシン」で鍛えたヘディングでA代表初ゴール「背負って戦っている」
植田がコートジボワール戦で後半ロスタイムにヘディング弾で勝利に導く 「嬉しいという一言」
森保一監督率いる日本代表は13日、オランダ・ユトレヒトで行われた国際親善試合コートジボワール戦で、終盤に出場したDF植田直通(セルクル・ブルージュ)が後半ロスタイムに劇的ヘディング弾を挙げ、1-0で勝利した。後半43分から出場した植田は、鹿島アントラーズ時代の元同僚MF柴崎岳(レガネス)からのFKを頭で決めてA代表初ゴール。会心の一撃でヒーローとなった。
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最後の最後に出番が回ってきた。0-0の後半43分、終盤にDF室屋成(ハノーファー)に代わって途中出場。「失点しない」と意気込んで、ピッチに入った。相手も猛攻に出るなか、後半ロスタイムに突入。日本が中央でFKを得ると、キッカーの柴崎は植田めがけて絶妙なボールを供給した。植田は高い打点でゴールへ叩き込み、A代表初ゴールが劇的勝利に導く決勝点となった。
「嬉しいというひと言です。あの時間に入るというところで、僕は後ろで失点をなくすというところで入って、チャンスがあればセットプレーを狙っていた。良かったです。これからまだまだやらないといけないことたくさんある。全力で準備したい。今日は結果が出たのでこれからも続けていきたい」
熊本県・大津高校時代から鍛え上げた自慢のヘディング。1年の時は大型FWとして活躍していた植田だったが、当時の平岡和徳監督からセンターバックへの転向を告げられた。そして、OBの元日本代表FW巻誠一郎やDF谷口彰悟(川崎フロンターレ)も特訓した「ヘディング・マシン」を使って毎日練習に練習を重ねた。大津高校に伝わる「一技二万回」という言葉の通り、ヘディングを「得意」にするまで朝練から何度も跳び続けた。高校時代から積み上げた結果、目標にしてきたA代表の舞台で救世主となった。
「本当に毎日ヘディングをやってきて、得意な部分でもあるしチームを助けたいという思いがあったので、一つ結果が出たのは自信にもなるし、成長していける。まだまだ日々やっていける練習をやっていきたい」
故郷に届けた一発。2016年4月14日、故郷熊本を襲った大地震では、植田の家族も被災。父太実男(たみお)さん母俊子さんも1週間の避難生活を送っていた。1泊2日の強行軍で支援物資を持って茨城から駆け付けたこともあった。翌月11日には鳥栖でU-23日本代表とガーナA代表の復興支援チャリティーマッチが開催。リオ五輪世代として、主将マークを巻き勝利に貢献した。今年も新型コロナウイルスの大きな影響を受けたり、7月には熊本を豪雨が襲って多くの被災者が出た。「プレーで勇気や希望を」――。今回も懸けた思いは大きかった。