「タフな時期」の先に希望は見えるか 暫定17位の清水、“特別な1年”でのトライと足踏み
【J番記者コラム】内容的に良い試合も…広島に敗れて今季3度目の4連敗
コロナ禍のなかで行われている2020シーズンのJ1リーグは、選手の感染やAFCチャンピオンズリーグ(ACL)日程変更の影響を受けて、第21節を終えた時点で試合数が多いチームで24試合、少ないチームで20試合となっている。日程通りに21試合を消化しているチームはガンバ大阪、名古屋グランパス、柏レイソル、横浜FCの4チームのみ。そのため順位は「暫定」となり、清水エスパルスは現時点で17位。しかし、最下位18位の湘南ベルマーレは清水よりも2試合消化数が少なく、その勝ち点差は3。湘南が2試合のうち1勝すれば、暫定ではない正真正銘の最下位へ清水は転落する。
今節のサンフレッチェ広島戦も2-3で敗れ、これで今シーズン3度目の4連敗。前半13分にゴール正面のFKを広島のMF森島司に見事に直接決められ、後半4分にDF六平光成のクロスをFWジュニオール・ドゥトラが合わせて一度は追いつくも、わずか2分後にはFKのこぼれ球をFWレアンドロ・ペレイラに押し込まれ再びリードを許す。
そして飲水タイム明けの後半30分には左サイドでDFヘナト・アウグストとMF西澤健太がヘディングで重なり、そのボールをマークの空いたMF浅野雄也に拾われてスルーパスを出され、MF川辺駿に流し込まれて3失点目を喫した。清水も意地を見せ同41分にDF奥井諒のクロスをFW後藤優介が移籍後初ゴールとなるダイビングヘッドで1点差に迫ると、ロスタイムにも後藤のミドルシュートがクロスバーを叩き、それをFWカルリーニョス・ジュニオが詰めるも、これは枠を捉えることはできなかった。
ここまで「自分たちのサッカー」を貫いてきたが、4-2-3-1のフォーメーションを直近6試合では3-4-2-1、もしくは3-5-2の3バックに変更した。ピーター・クラモフスキー監督は「起用できる選手のなかで最大限を引き出す」と、ディフェンスの選手に怪我人が続出しているため、現有戦力を考えての変更だと説明していた。
ただ、それに加えてここ2試合の名古屋と大分トリニータ戦では、相手ディフェンスの裏を狙う意識が強くなりロングボールが増えていた。そのため距離感も悪くなり、「自分たちのサッカー」であるパスサッカーとのバランスが崩れていた印象だった。
もちろん、対戦相手のスタイルや戦術的なことで組み易いこともあるが、この広島戦ではそのバランスが整理されて意識的にパスを展開し2得点につながった。同点に追いついた場面ではCKのクリアボールを六平が拾い、西澤とのワンツーからのクロスをドゥトラがペナルティーエリア内で合わせている。すべてワンタッチプレーでつないだ得点だった。2得点目は六平とドゥトラのパス交換から奥井がクロスを上げて後藤が押し込んでいる。理想的な得点ができ、内容的にも良い試合となった。
下舘浩久
しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。