【Jリーグ月間表彰】「あのプレーは正解」 元日本代表GK楢﨑氏が称賛、9月の「J1ベストセーブ」とは?
考える時間が少ないなか、チョン・ソンリョンの判断は“妥当”だった
難しさはGKの判断にも言える。ピンチを迎えたのは、相手にボールが渡ってから約3秒後。ある程度攻められているなかで予測がつく状況とは違う。こうした状況で一か八かのプレーを選択するGKもいるというが、チョン・ソンリョンの場合は、「考える時間が少ないなかで構えて動かない判断を下し、なおかつ、ボールへしっかり反応していた」と評価。ゴールから飛び出して対処するという選択も考えられなくはないが、楢﨑氏はチョン・ソンリョンの判断が“妥当”だったと見ている。
「飛び出すのもありだったかとは思うんですけど、それにしては少しFWまでの距離があったのと、飛び込んできているのを相手FWが見たら浮かしたシュートを打たれる可能性もあります。体を倒していたら実際のシュートと同じようなものが飛んできた場合、ゴールになっていたでしょう。止める確率を上げるという側面から言うと、あのプレーを選んだのは正解だったと思います」
攻撃力だけでなく、リーグ最少失点(10月12日時点)の守備力も光る今季の川崎。ディフェンス面においては、楢﨑氏が「いろんなことを高いレベルでこなし、欠点が少なく安心感を与えられる選手」と評するチョン・ソンリョンが果たす役割も、大きな鍵を握っていると言えそうだ。
[プロフィール]
楢﨑正剛/1976年4月15日生まれ、奈良県出身。1995年に奈良育英高校から横浜フリューゲルスに加入。ルーキーながら正GKの座を射止めると、翌年にJリーグベストイレブンに初選出された。98年シーズン限りでの横浜フリューゲルス消滅が決まった後、99年に名古屋グランパスエイトへ移籍。10年には、初のJ1リーグ優勝を経験し、GK初のMVPに輝いた。日本代表としても活躍し、国際大会では2000年のシドニー五輪(OA枠)、02年日韓W杯などに出場。昨年1月に現役引退を発表し、現在は名古屋の「クラブスペシャルフェロー」に加え、「アカデミーダイレクター補佐」および「アカデミーGKコーチ」を兼任する。