【Jリーグ月間表彰】「日本ではなかなかいない」 元日本代表DFが絶賛、9月のJ1ベスト“守備者”を選出
2020年9月 Jリーグ月間ベストディフェンシブプレーヤー by 栗原勇蔵 山根視来(川崎)
今季のJリーグで圧倒的な強さを誇示し、首位を独走している川崎フロンターレ。Jリーグを全試合配信している「DAZN」のパートナーメディアで構成される「DAZN Jリーグ推進委員会」の企画で、元日本代表DF栗原勇蔵氏が「月間ベストディフェンシブプレーヤー」を選出。9月は川崎の右サイドで輝きを放つDF山根視来のプレーを称えた。
2002年のトップチーム昇格から横浜F・マリノス一筋でプレーし、昨季限りで18年間にわたる現役生活にピリオドを打った栗原氏。J1リーグ通算316試合出場を誇る元日本代表DFは、「月間ベストディフェンシブプレーヤー」を選出するにあたり、9月に行われたリーグ戦全試合にフルタイム出場し、攻守にわたって際立った存在感を放った山根に注目した。
「あの過酷な連戦でフルタイムはすごい。 9月のリーグ最少失点にも貢献しているし、ゴールやアシストなど得点にも絡んでいる。 川崎はエウシーニョ(現清水エスパルス)の穴埋めに苦労していた印象だが、ようやく正当な後任が現れたなと。 湘南時代は3バックの一角の印象だったので、川崎の右サイドバック(SB)であそこまで化けるとは思わなかった。チームのスカウティング能力はさすがの一言」
また、栗原氏は山根が大ブレイクした要因の一つに、右ウイングを務めるMF家長昭博の存在を挙げ、「家長選手が右で溜めも作れるし、中にも入っていく。そこのスペースを上手く使えるのが大きい。 以前の柏レイソルのレアンドロ・ドミンゲス(現横浜FC)と酒井宏樹(現マルセイユ)選手の関係を見ているよう。家長選手が山根選手の最大値を引き出して、信頼関係が築けている」と右サイドのコンビネーションに太鼓判を押していた。
とりわけ山根が家長との連係でインパクトを残した場面として、栗原氏は9月20日に行われた第17節浦和レッズ戦(3-0)の前半37分に決めた先制点のシーンを挙げた。ペナルティーエリア右で家長が複数人の相手選手に囲まれながらも浮き球のボールを中央へ送ると、走り込んだ山根が右足を振り抜き、豪快なダイレクトボレー弾をゴール左に突き刺した。
「あの状況でボックス内に入っていくSBは日本ではなかなかいない。 あの場面だったら、家長選手の外側を回ってオーバーラップするSBがほとんどだと思う。奪われた際のカウンターの懸念を考えたら、あそこに入っていくというのは、それなりに勇気がいる。 家長選手はボールを失わないという信頼があるからこそ」
栗原氏はDFながらゴール前まで果敢に走り込んでいく山根のアグレッシブさに舌を巻き、「山根選手は世界的なトレンドを踏まえても、非常に近代的なSBだと思う」と惜しみない称賛を送っていた。今季川崎が独走態勢を築いている背景の一つには、山根が右サイドで見せる輝きがあるのは間違いなさそうだ。