SBをボランチ起用の苦しい台所事情 鳥栖監督、“休みなし”の過密日程の弊害に苦悩

鳥栖の金明輝監督【写真:Getty Images】
鳥栖の金明輝監督【写真:Getty Images】

PKのチャンスを林が決めきれず、後半アディショナルタイムに失点して無念の3連敗

 サガン鳥栖は10日に行われたJ1リーグ第21節、ホームで浦和レッズに0-1で敗戦。3連敗と苦しい状況が続いている。

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 鳥栖は前半から高い位置からのプレスで浦和のボール運びを制限しつつ、マイボールを前線につなげていく内容の良さは見せていた。しかし、後半にPKで先制のチャンスを得たが決められず、最終的には後半アディショナルタイムに速攻から決勝ゴールを許した。2012年のJ1復帰以来、浦和にホームで敗れたのは1度だけという相性の良さも、この試合では逆の結果に出てしまった。

 鳥栖の金明輝監督は「全体的にいい入り、いいゲーム運びはできたと思う。ただ、相手に恐怖を与えたかというとそうでもないし、自分たちが今日に関しては少し迫力がなかった」と振り返る。

 そして、前半は浦和の選手の少し後ろでボールを受けていた選手たちが、前で受けて捕まり始めた後半について、「ちょっと立ち位置を変えて、サイドバックを提げて3枚気味に回そうと心がけたが、それによって少し、全体的に後ろ髪を引っ張られる形になったのかな」と、誤算があったことも話した。

 鳥栖は8月にチーム内で新型コロナウイルスへの感染者が出たことで、約1カ月リーグ戦の試合が行えなかった。結果的に、そのタイミングに消化するはずだった試合の延期分が次々に入ってくることで、今はまったく休みを取れない連戦が続いている。このゲームではキーマンの1人であるMF原川力が欠場し、普段はサイドバックのMF内田裕斗を、「ボランチで試合をするのは人生で初めてだった」という起用を余儀なくされた。

 その内田のプレーが悪かったわけではないが、シーズン中にそうした起用を行わざるを得ない状況が苦しいのは事実だろう。

 金監督が「ハマらなかったのは、基本的に長いボールを蹴られてセカンドボールを取られて広げられたというところだけ。いかんせん守備でサイズの大きな選手をおいていないし、別にハマっていない印象はなかった。個のところでひっくり返されたというのはあった」と話したように、最終的には多少の強引さを感じさせた浦和のアタックに屈する結果になった。

 鳥栖のU-15、U-18のチームを指導してきた金監督が現在トップチームを率いることで、金監督から指導を受けた経験を持つアカデミー出身でゲームに絡む選手が増えてきた鳥栖だけに、一体感やチーム全体の戦術理解度の高さはいつも感じられる。この厳しい日程のなかで、それを勝利につなげきれないもどかしさが、この日の浦和戦にも出てしまった。

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