町田の“新拠点”整備は「スタートライン」 最年長MF李漢宰、苦難を経て挑むJ1昇格への思い

トレーニング施設の整備イメージ図【写真:©FCMZ】
トレーニング施設の整備イメージ図【写真:©FCMZ】

クラブハウス完備の施設整備は「スタートライン」 悲願のJ1昇格へ全身全霊を注ぐ

「FC町田ゼルビアはランコ・ポポヴィッチ新監督の下で着実に成長していますし、現実的な目標であるJ1昇格に向けて一歩ずつ進んでいる状況です。プロサッカー選手である以上、試合に出てなんぼ。試合に絡めていない以上、僕がサポーターや見てくださる方に評価されないのは当然なことだと思います。ただ、サッカーは試合に出ている11人、もしくは試合に絡む18人だけでチームが成り立つものではありません。僕自身1年間意識しているのは、良い時も悪い時も自分が先頭に立って、チームを支えていくという気持ち。大袈裟かもしれませんが、勝っている時、連勝している時、順位が良い時はメンバーに入っていなくても、僕が裏で支えてるんだなと思ってもらえればありがたいし、逆に調子が悪い時、元気ない時は李漢宰の頑張りが足りないんだと思っていただければ幸いです」

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 李漢宰がFC町田ゼルビアにすべてを捧げる理由――。それは、大好きなサッカーをする環境を与えてくれたクラブへの恩返しであり、加入当初に掲げたサポーターとの誓いを最後まで貫き通したい思いからだという。

「人間の命で例えるなら、死んだような状態だった僕をFC町田ゼルビアに拾っていただいた。その感謝の思い、そして僕が加入した当初に皆さんの前で伝えた『すべてを捧げて、このチームとともに歩んでいきたい』という言葉を持ち続けています。良い時も悪い時も支えてくれた場所に恩返しをするのは、人間としてごく当たり前のことだと思うので。苦しい時、ここが踏ん張り時だという時に、常に前向きな言葉をかけてくださる。そういう方たちがいるからこそ今の自分たちもあるし、FC町田ゼルビアが存在すると思います。もちろん、試合に出てないと自分の存在意義に不安を感じることもたくさんあります。ただ、自分と戦いながらこのチームのために何ができるか、体で示していける以上は、自分から現役を退くことはありません」

選手たちを声で後押しする町田サポーター【写真:©FCMZ】
選手たちを声で後押しする町田サポーター【写真:©FCMZ】

 今年6月、町田市、市民の協力を受け、鶴見川クリーンセンター内にJ1への新拠点となるクラブハウスと天然芝グラウンドが一体となったトレーニング施設の整備が決定。東京町田発・世界に通じるビッグクラブを目指すクラブの思いが叶う場所に、そして子供たち・青年たちの夢の創造の場所となるように――とのメッセージが込められた。在籍7年目の李漢宰も、“本当の意味でのスタートライン”を強調する。

「2021年7月に自分たちのクラブハウス、J1ライセンスの基準を満たす施設ができるのは本当に感慨深いです。ようやく本当の意味でのスタートラインに立ったと思います。サイバーエージェントの藤田(晋)社長が語っているように、のちにはアジア(の舞台へ)という思いもありますが、一番現実的な目標はJ1昇格。自分たち次第で手に届く場所にいるので、それをつかみに行く思いでいます。どんな状況でも、自分もその場に立っているつもりです」

 様々な紆余曲折を糧に、多くの人々の思いを背負いながら、李漢宰は悲願のJ1昇格に向けて今日も全身全霊を注ぐ。

※取材はビデオ会議アプリ「Zoom」を使用して実施。

(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)



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