町田の“新拠点”整備は「スタートライン」 最年長MF李漢宰、苦難を経て挑むJ1昇格への思い
サイバーエージェントが経営権を取得し、19年に初めてJ1クラブライセンスを手にする
FC町田ゼルビアと言えば、2018年にJ1参入プレーオフ出場圏の4位を確保しながら、J1ライセンスに必要な「1万5000人以上が入場可能なスタジアムを有すること」「設備基準を満たしたクラブハウス、天然芝またはハイブリッド芝ピッチを1面以上有する専用の練習場を用意すること」などの条件を満たせず、“不参加”というもどかしさを味わった。J2再昇格初年度の2016年も、結果的に7位フィニッシュだったが最後までプレーオフ圏内入りを争っている。突きつけられる厳しい現実から這い上がれたのは、飽くなき反骨心が原動力になったからだと李漢宰は言う。
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「J1ライセンスが下りない、プレーオフを戦えないと聞いた時、そこでモチベーションが落ちることはなく、自分たちが結果で変えていくんだという思いでいました。反骨心じゃないですけど、苦しい経験・悔しさを経て今があります。今思えば、未来図を思い描きながらプレーしていたというよりも、一日一日、今その瞬間を必死で生きていた感じですね。過去FC町田ゼルビアでプレーした選手、関わってきた人たちを含めて、そういう思いがJ1昇格の目標に現実味を帯びさせてくれていると思います」
ジレンマが続いていたなか、2018年10月にサイバーエージェントがFC町田ゼルビアの経営権を取得後、事態は大きく動き始めた。2019年5月、新たな拠点として、土のグラウンドだった町田市保有の上の原グランドをクラブ負担で、天然芝と人工芝の融合したハイブリッド芝のピッチへと改良。スタジアム増席工事も着工され、ライセンス制度の基準が緩和された2019年9月に初めてJ1クラブライセンスを取得した。順位の要件を満たしていれば、J1昇格を果たせる権利をついに手にしたのだ。
2020年シーズンは新型コロナウイルスの影響で特殊なレギュレーションが採用され、J2からはリーグ戦上位2チームが自動昇格となり、J1参入プレーオフは行われない(降格はなし)。FC町田ゼルビアは24試合消化時点で2位と16ポイント差の15位。8月中旬から徐々に調子を上げるなかで、李漢宰自身は7月15日のリーグ第6節アルビレックス新潟戦(3-3)以降、ベンチ外が続く苦しい状況にある。それでも「プロである以上、常に試合に出たい」との思いを秘めながら、チームのために死力を尽くす覚悟を改めて口にする。