「スペイン的に言うとありえない」 Jリーグ佐伯理事、海外から見て驚いた日本サッカーの文化とは?
日本のユース→トップの“飛び級昇格”に疑問 「スペイン的に言うとありえない」
「浅はかな知恵だけど、日本のJリーグとか関係者の方とお話させて頂く時にユースからトップに上がる選手がめちゃくちゃ多いのにいつもビックリしていた。『ユースから次のステップがトップなの?』というのが、スペイン的に言うとありえない。スペインでは一般的にU-18が日本で言う高校3年生ならU-19、U-21、U-23があって初めてトップ。ビジャレアルでもU-23は代表クラスの選手ばかりだけど、トップに1人上がるかどうかぐらいのレベル。その(U-23、U-21)層が薄いというところ、18歳からJ1、J2にいけるというのはどうなんだろう。本当にいい現象なのか、それほどスーパーな子たちがたくさんいるのか……。だからこそ私はU-21、U-23というカテゴリーが必要だと思う」
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スペインでは、U-21、U-23のカテゴリーが課題であるとしながらも、各カテゴリーのピラミッドが整備され、トップに辿りつくまで一段ずつ昇格していかなければならない。例えば、“ピピ”の愛称で知られるMF中井卓大はレアル・マドリードの下部組織に11歳から加入。インファンティールA(U-14相当)、カデーテB(U-15相当)、カデーテA(U-16相当)と階段を駆け上がり、昨季はフベニールCに在籍した。今季はフベニールB(U-18相当)に所属するも、フベニールAのメンバーが主体となるUEFAユースリーグでは、飛び級で40人に選出されていた。今後はフベニールA、カスティージャ(Bチーム)とカテゴリーを上げ、トップチームにたどり着けるか注目が集まっている。日本ではユース卒業後にトップに昇格するパターンは少なくなく、佐伯理事はこの“飛び級制度”に疑問を持ち、強化していくことを課題と捉えているという。
「U-23はビジャレアルに関しては、そこそこお客さんも入っている。所詮(人口)5万人の街なのでコアなおじちゃんとかが来ますね。U-21は代理人、関係者、あとは彼女ぐらい(笑)。集客という意味では取れないし、お金も取っていない。日本は、いろんな連盟が乱立する独特なサッカーの文化の中で、今後もクラブに一本化されることはありえない。少年団、高校サッカー、大学サッカー、クラブユースと多様性があるのが日本サッカーの特徴だけど、いい形で次世代に繋いでいかなければいけない」
スペインで各年代、女子チームも指導してきた佐伯氏だからこそ見える日本サッカーの側面。長年掲げられる課題である「若手の育成」にメスを入れ、底上げを実現してもらいたい。
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(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)